廃炉原発から出る廃棄物を再利用したクリアランス製品、福井県の全市町に設置 照明灯やベンチなど

原発の廃炉作業で出たクリアランス金属を再利用した防犯灯=福井県福井市内

 原発から出る放射能レベルの極めて低い廃棄物を再利用できる国の制度で確認を受けた「クリアランス金属」を使った製品が、4月までに福井県内全17市町に設置された。県内7基の廃炉作業で今後大量に出るクリアランス物の取り扱いが課題となる中、県は「社会定着に向けた第一歩」と強調し、“リサイクル先進地”としてさらなる県民の理解促進を図りたい考え。

 国のクリアランス制度は、原発から出る廃棄物の放射能レベルが人体の健康への影響を無視できる基準以下なら、リサイクルや一般の産業廃棄物として処分できる。国の認可を受けた事業者が測定などを行い、国が評価結果を確認する。

 クリアランス物は、これまで大半が原子力業界内での活用、展示に限定されてきた。同制度を活用して国の確認が終わっても、再利用先が見つからないなどの理由で原発敷地内で保管されているケースも多く、廃炉作業に支障をきたす恐れもある。

 県内では2022年度から、電力事業者や国、県の事業でクリアランス製品の原発敷地外での設置が本格化した。県内の観光施設や道の駅、公園などにサイクルスタンドや照明灯、県庁や敦賀市役所、県内の大学キャンパスなどにはベンチを設置。敦賀駅前商店街にはフラワーポットを置いている。

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