未曾有の観光船沈没事故から2年。全国に広がる“波紋”が明らかに

HTB北海道テレビで6月2日、テレメンタリー2024「沈没の波紋」(深夜0:55、北海道ローカル)が放送される。北海道・知床の観光船沈没事故から2年、小型船業者の危機といった全国に広がる“波紋”を独自調査で明らかにする。ナレーターはHTBの森さやかアナウンサー。テレビ朝日系各局でも随時放送される。

知床半島沖で乗客・乗員26人を乗せた観光船が沈没した事故。20人が死亡し、6人が行方不明のまま2年がたった。十勝地方に住む男性は、今なお行方が分からない7歳の息子と母親の帰りを待ち続けている。しかし2月、苦渋の決断を下した。息子が法的に亡くなったものとする認定死亡の手続きを行ったのだ。観光船を運航していた知床遊覧船と桂田精一社長に損害賠償を求める集団提訴に加わるには、「遺族」になる必要があるからだ。癒えることのない悲しみ――。法廷の場で直接、桂田社長に言いたいことがあるという。

海上保安庁は、桂田社長を業務上過失致死容疑で立件する方針で捜査は終盤へ。HTBが入手した知床遊覧船の経営計画書には、「安全第一」の言葉が掲げられていた。そして、「社長が先頭に立って汗をかいて未来を創る」という桂田社長の直筆メッセージも添えられていた。ただ、桂田社長は事故直後の会見以降、公の場に姿を見せることもなく、事故について語ることはない。

事故の影響は、当事者以外にも広がっている。小型船舶の検査を行う国の代行機関「JCI(日本小型船舶検査機構)」は、事故の3日前の検査で、船前方のハッチの不具合を見過ごした。ここから海水が船の中に入り込んだことが、事故の直接的な原因とされている。その後、小型船の安全と信頼を守るため、検査は厳格化された。

しかし、番組が独自に実施した全国の事業者アンケートでは、検査への対応が重い負担としてのしかかり、運営が圧迫されている実態が明らかに。観光だけでなく、地元住民の命を守るための生活航路の存続までも危惧されている。HTBは、番組が独自に実施した全国の事業者アンケート調査の結果を、後日特設サイトで公開予定だ。

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