【取材の裏側 現場ノート】今季の欧州サッカー界で話題になっているのは、ドイツ1部レーバークーゼンを率いるシャビ・アロンソ監督(42)だ。
無敗のままドイツ1部で圧倒的な優勝を飾ると、公式戦の無敗記録は欧州最長の51に。22日(日本時間23日)の欧州リーグ(EL)決勝アタランタ(イタリア)戦で0―3と敗れて今季初黒星を喫したものの、世界屈指の名将として認められる存在になった。
現役時代はスペイン代表、同国1部レアル・マドリード、ドイツ1部バイエルン・ミュンヘン、イングランド・プレミアリーグのリバプールなど超名門で活躍。このレジェンドと日本代表の森保一監督(55)には〝接点〟がある。
森保監督が東京五輪代表監督に就任し、まだA代表監督を兼務する前の2018年1月にイベントで共演。アロンソ氏は現役引退直後だったが、2人は指導者論を熱くかわした。まずアロンソ氏が日本サッカーに向けて「組織的にやることも大事だが、選手は指示にプラスして勇気がないと。〝ヤンチャ〟でないといけない」と訴えかけると、その言葉が響いた森保監督は、質問攻めを開始する。
「どの監督が印象に残っているか」と問うと、アロンソ氏は「共通点は、どの監督も、ものすごく説得力がある。選手たちに訴えかける時、選手が信じて納得でき、監督のためにやろうと。まとめることが上手な監督が多かった」と答えた。
続けて森保監督は「キャラクターの強い選手をどうまとめるのか」。するとアロンソ氏は「パズルを組み立てるように。一番いいピースばかりを選ぶと、パズルが組み立てられない時もある」と返した。
さらに育成について意見を請うと「自分が何かミスをした時に、ちゃんと監督は見てくれているという、その喜びがあってモチベーションにつながる」と熱弁した。
数々の金言に森保監督は「シャビさんがしゃべると、みんな食いついて一語たりとも聞き逃さない姿勢だった。(そのように)選手が自分を見てくれるようにしていきたい」。森保ジャパンでは、その教えが存分に生かされているのかもしれない。(サッカー担当・渡辺卓幸)