[セルフスタンドでやりがち] 給油の際にこぼしてしまったガソリン、そのまま放っておいてもOK?

セルフ式ガソリンスタンドで給油中に、うっかりガソリンをこぼしてしまった経験のある方も少なくないでしょう。ガソリンは扱いを誤ると火災になってしまう危険な物質ですが、給油時にガソリンをこぼしてしまった場合、いったいどうするのが正解なのでしょうか?

●文:ヤングマシン編集部(ピーコックブルー)

少量のこぼれであれば神経質になる必要はないが…

ガソリンは、消防法で危険等級2に分類されるとても危険な物質。本来、大量に扱うには危険物乙種4類の資格が必要ですが、有資格者の監督の下で安全対策が施されたセルフ式ガソリンスタンド内なら、無資格でも取り扱いが認められています。

ガソリンが危険とされる理由は、軽油や灯油よりもはるかに高い揮発性にあります。常温でも可燃性ガスが大量に発生するうえ、低い場所に滞留しやすいため、火気だけでなく静電気のような小さな放電でも引火し爆発する恐れがあります。

では、こういった危険性のあるガソリンを給油中に溢れさせてしまった場合は、なんらかの罰則が科せられてしまうのでしょうか。

燃料の流出に関しては、以下のような法律と違反罰則が定められています。

  • 道路法 第16条
    (条文)みだりに道路を損傷し、または汚損させてはならない
    (罰則)1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第16条
    (条文)何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない
    (罰則)5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金

法律ではこのように定められていますが、ガソリンスタンド内は一般公道ではない上に、ガソリンスタンドでは施設自体が燃料の流出を防止する構造になっているため、多少のガソリンをこぼしたとしても罰せられることはないようです。

ガソリンスタンドは身近なものではあるものの、とても危険な物質であることを忘れてはいけない。

そもそも、揮発性が高いということは蒸発しやすいということ。少量のガソリンなら、こぼした先から乾いてしまうため大きな問題にはなりません。

しかし、こぼしたガソリンは少なからずバイクに対して影響を与えます。

ガソリンには一部の樹脂を溶かす性質があるため、こぼれた状態で放置すると塗装面が変質する恐れがあります。また多くの添加剤も含まれており、完全に揮発しても、“ガソリン染み”と呼ばれる汚れのような跡が残ってしまうことがあります。

燃料タンクにこぼしたガソリンのしずく/給油口から垂れ流れたガソリンのように、極少量の場合は、タオルなどで拭き取るだけで十分です。なおガソリンスタンドによっては、拭き取り用のタオルが用意されているためこれを利用するとよいでしょう。

大量にこぼした場合は、揮発するのにもそれだけ時間がかかります。乾いたタオルでガソリンを速やかに除去したうえで、なるべく早いタイミングで洗剤を使って洗い落としましょう。

とはいえ、近年のバイクの純正塗装は以前よりも強靭になっているため、短期間であれば放置しても問題ありません。ただし、塗装されていない樹脂などにはガソリンの影響が強く出ます。とくにタイヤにかかったガソリンはすぐに拭き取るのがポイントです。

ガソリンは危険な物質ではあるものの、大量に溢れさせなければ大事に至ることはありません。バイクへのダメージを防ぐためには、拭き上げ/洗車などの事後処理のほか、こぼさない/溢れさせないための事前対策も大切です。

オートストップ機能は便利ではあるが、クルマより給油量が少ないバイクに給油する場合は使用しない方がよさそうだ。

なお、ガソリンを溢れさせてしまう代表的な原因として、オートストップ機能への過信/燃料の入れ過ぎの2つが挙げられます。

給油ノズルの先端まで燃料が入ると自動停止する”オートストップ機能”は、確実に止まるものではないため、給油量が少ないバイクに対しては極力使わない方がよさそうです。

またバイクによっては、規定以上に入ったガソリンを車体下部から排出する構造になっています。なるべく多くの量を入れようと躍起になっていると、気づかないうちにバイクの下からガソリンが漏れ出てしまう可能性もあります。

タンクからノズルを離す際にこぼれてしまうガソリンは、ノズルを上向きにしたり、備え付けのタオルをノズルの先端に添えて離すとよいでしょう。

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