これなんだと思う?キャンプの焚き火を使った面白いギア作りとは?

春本番が近付いて、ファミリーキャンプを楽しみにしている子どもたちも多いだろう。
そこで、今回は親子で楽しめるキャンプ遊びを紹介しよう。
野外技術研究家でイラストレーターのスズキサトルさんに、焚き火を使った土器づくりを教えてもらった!

__スズキサトルさん
__野外技術研究家、イラストレーター。
やさしい語り口と懐の深さで、各地で開催されるソト遊びワークショップが大人気。
著書に『森のブッシュクラフト図鑑』(笠倉出版)などがある。日本理科美術協会会員でもある。

今回、スズキさんが教えてくれるのは苔玉を入れる素焼きの土器だ。
しかし、粘土の成形など、あらかじめ下準備がいるので、順番に紹介しよう。

キャンプに行く前の準備

①野焼き用粘土を用意しよう

スズキさんは山で採取するというが、野焼きに適した陶芸用粘土が1kg300円程度で販売されているのでこれを利用しよう。厚みを均一に!

それから土器の縁を滑らかに整えるときに使うヘラもあるといい。
指先で整えるだけでも素朴な味わいになるのでいいが、へらで整えると洗練された仕上がりになる。

②粘土を成形して乾燥させる

粘土の厚みを均一にすることで均一に火が通り、割れにくくなる。
よく粘土をこねて中に空気が残らないようにすることも大切。

好きな形に成形したら1週間〜10日風通しのよい日陰に置いて乾燥させる。
最後の数日は天日干しで完全に水分を飛ばす。
水分が残ったまま火にかけると割れるので、余裕を持って準備することが成功の近道だ。

③苔玉を用意する

実生の根を土ごと苔で包み貼り付けた苔玉。
そのまま置いてもサマになるが、自作土器に入れると格が上がる!

いよいよ土器を焼こう!

キャンプ場には成形して乾燥させた粘土を持っていこう。
いつものように焚き火の準備をしたら、いよいよ土器を焼く。

①焚き火台の端っこに土器をセット

よく乾燥させた粘土を焚き火台の端っこに置いてから焚き火をはじめる。
ゆっくり全体をあぶるように、ときどき回転させる。
この状態で約1〜1.5時間かけてじっくりあぶろう。

②水分が飛んだら焚き火の中へ

全体をあぶったら焚き火の中心に押し込み、強火でさらに1〜1.5時間かけて焼く。
時間がかかるのですぐに燃え尽きる針葉樹ではなく、火持ちがよくて高火力な広葉樹を使うと管理しやすい。

③3時間くらいで完成

赤橙色になって全体に焼き固まったら焚き火から下ろす。
小さな炭を中に入れておき、ゆっくり冷ますほうが温度差による割れが生じにくい。

④苔玉を置いて小さな自然を楽しもう

完全に土器が冷めたら、用意しておいた苔玉を入れて完成だ。
素朴な素焼きの器と苔玉が絶妙にマッチ。
曲がった樹形でも、それが自然の強さ・美しさに通じるから不思議だ。

PHOTO/逢坂 聡
TEXT/大森弘恵
協力/松本市美鈴湖もりの国オートキャンプ場
出典/ガルヴィ2022年10月号

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