菅家衆院議員、派閥還流で148万円税控除 自民党支部に全額寄付

菅家一郎氏

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、菅家一郎衆院議員(69)=比例東北、4期=が、安倍派からのパーティー券収入の還流金を自身が代表を務めていた党支部に全額寄付し、所得税が一部控除される税優遇を受けていたことが27日、分かった。菅家氏は事実関係を認めた上で「国民の誤解を招かないよう説明責任をしっかりと果たしていく」と述べ、議員辞職や離党は否定した。

 菅家氏によると、2018~21年の4年間で派閥から還流金計1289万円を受け取り、個人として全額を政党支部に寄付した。租税特別措置法は個人が政党に寄付した場合、一定の税額控除を受けられると定めており、菅家氏は寄付分の控除を申請して計約148万円の控除を受けた。還流金の記載を巡っては今年1月、個人名義ではなく安倍派の寄付として収支報告書を訂正しており、この時に税額控除分は全額国庫に返納したという。

 菅家氏は27日、国会内で記者会見し「(税理士が)法や制度にのっとって(税額控除を)申請してきた」と違法性はないとの認識を示した上で「誤解を与える要素がないわけではなく、寄付控除の在り方は議論すべきだ」と述べた。控除分の使い道については「事務所の運営経費など政治活動に充てた」と説明した。

 林芳正官房長官は27日の記者会見で「政治家であるか否かにかかわらず適正な申告を行うことが必要だ」と指摘した。

 菅家氏は4月、裏金事件を巡り、党役職停止6カ月の処分を受けている。

 政治資金に詳しい日本大の岩井奉信名誉教授(政治学)は「裏金を原資として税優遇を受けることは道義的に問題だ。政治家に対する不信感を広げるだけでなく、個人献金を促進する(寄付金控除の)制度の趣旨にも反する」と指摘。「こうした行為を全て法律で取り締まる制度設計は難しく、各政党が『認めない』と申し合わせる必要があるのではないか」と語った。

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