米ハイアットの温泉旅館「小規模で上質な和」提供 由布市進出発表、26年開業目指す【大分県】

温泉旅館ブランドについて発表したハイアット社のデービッド・ユデル氏(中央)ら関係者=27日、東京都港区

 世界各地に高級ホテルを展開する米ハイアットホテルズコーポレーションなどは27日、初めての温泉旅館を由布市内に展開すると正式発表した。2026年の開業を目指す。大分県内でも新型コロナウイルス禍を脱して訪日客が増えており、主に海外の旅行者をターゲットに日本文化の魅力を発信する。詳しい進出地域は明らかにしていないが、知名度のある同市湯布院町を選んだもようだ。

 ハイアット社と、伝統的な建築物の再生などを手がけるKiraku(京都市)が合弁事業として実施する。新設する高級温泉旅館のブランド名は「吾汝(あとな) ATONA」。由布市に続いて、屋久島(鹿児島県)、箱根(神奈川県)にも進出する計画を明らかにした。

 新ブランドは小規模で上質な和のもてなしを提供する「スモールラグジュアリー」を基本的な考えに据え、客室数は30~50室、部屋のサイズは標準タイプで50~70平方メートルを予定する。

 温泉をはじめ、ダイニング、バーなどを備えるほか、訪日客の需要に応えて地域に根差した文化体験ができる場も設ける。

 東京都内で発表会見があった。最初に開業する場所に由布市を選んだ理由について、運営を担うAtona(東京都)の渡部賢(さとし)COOは「豊富な湯量を誇るからだ。自然と人間社会が調和しながら発展していることも(屋久島、箱根を含めた)3地域に共通している」と語った。

 ハイアット社のデービッド・ユデル氏=アジアパシフィックグループプレジデント=は「地域コミュニティーが誇りに思ってもらえるものの一部になりたい」と述べた。

 地元関係者の話を総合すると、進出予定地は由布市湯布院町川上の県道別府一の宮線(11号)沿い。市の条例に基づいて開発計画を周知するための看板が現地に設置されていた。

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