月探査機「SLIM」目覚めず–これまで3度越夜に成功、6月再挑戦へ

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は5月28日、日本初の月面着陸に成功した「SLIM」について、5月中の再起動を断念すると明らかにした。

「月の夜」を探査機が乗り越えることを「越夜」という。月面は昼には摂氏100度まで上昇する一方、夜には最大で摂氏マイナス170度まで低下する。そして、月の夜は約2週間ほど続く。こうした極端な温度変化、そして極端な低温が長く続く環境は探査機にとって非常に過酷だ。

SLIMはこの越夜を想定した設計ではなかったが、これまでに3度の越夜に成功。分光カメラによる観測を継続するなど、すでに「想定を超える成果」(JAXA)を挙げてきた。

そして今回、JAXAは4度目の越夜成功を試すべく、SLIMのソーラーパネルに十分に太陽光が当たっていると想定される5月24日、5月25日、5月27日にコマンドを送信したが、SLIMからの応答はなかった。原因は不明で、5月中旬に発生した太陽フレアとの関連もわからないという。

なお、JAXAはSLIMの再起動を諦めたわけではない。6月もSLIMの太陽光パネルが十分に発電可能になったタイミングで再起動に挑むという。「夜の間に電源がOFFされており、全体がリセットされて再起動することを期待している」とJAXAはコメントしている。

関連:X(SLIM公式アカウント)

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