カンヌ映画祭のレッドカーペット、警備員の対応に物議。強引に急かされた俳優「自分と違う見た目の女性はされなかった」

フランスのカンヌ映画祭レッドカーペットを歩くケリー・ローランドさん(左)。警備員を責めているように見える=2024年5月21日、フランス・カンヌ

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フランスのカンヌ映画祭のレッドカーペットで、複数の俳優が警備員から強引に急かされる動画が拡散され、物議を醸している。

最初に話題に上がったのは、アメリカの歌手で俳優のケリー・ローランドさん。カンヌ国際映画祭のレッドカーペットで警備員の女性を責めている映像が拡散され、物議を醸した。

ローランドさんは5月21日、レッドカーペットでにこやかに手を振っていたところ、警備員によって早く移動するよう強引に促された。しかし女性警備員のその行動に、ローランドさんは納得がいかなかったのだろう。動画では、警備員に対してボディランゲージを用いながら強く責めている様子がわかる。

ローランドさんはAP通信とのインタビューで、「私は自分の立場を貫いただけ」と返答。出席していた自身とは違う容姿の女性たちは、「責められたり突き飛ばされたりはしなかった」と述べ、人種差別があったことをほのめかした。

こうした対応を受けたのはローランドさんだけではなかったようだ。

5月26日には、ドミニカ共和国の俳優マシェール・タベラスさんが、同じ女性警備員から急かされている動画が拡散された。タベラスさんのドレスにはジーザスの描かれた長いトレインがついており、その全体を披露しようとしたところ、複数の警備員がそれを阻止したようにも見える。最後にはタベラスさんが女性警備員を払いのける様子も見られた。

タベラスさんは自身のSNSで、自身とローランドさんにレッドカーペットで起きた一件について書かれた記事の見出しを複数投稿。「私たちはこれまで以上に団結し、お互いを支え合い、魂を守り、境界線を強く持ち、自分たちの権利のために立ち上がる必要がある」と語り、ファンへの感謝とローランドさんへの敬意を述べた。

また、ローランドさんよりも数日前の5月19日にレッドカーペットを歩いた韓国の俳優ユナさんの動画がSNS上で再注目を浴びている。K-POPグループ「少女時代」のメンバーでもあるユナさんは、警備員から腕で後方をブロックされ、メディアとの交流を妨げられていた。強引に急かされ、ユナさんが困惑した表情をしているのがわかる。対応していた警備員は、ローランドさんやタベラスさんを急かしたのと同じ女性警備員だった。

こうした一連の出来事に対し、ネットでは「なぜあの警備員はクビにならないのか」「明らかに人種差別だ」など多くの批判の声上がっている。

一方、スーパーモデルのハイディ・クルムさんがレッドカーペットを歩いた際には、警備員の姿は見られず、クルムさんは誰にも邪魔されず階段を上り、スポットライトを楽しんでいた。クルムさんは白人だ。

SNSでは、クルムさんが優雅にレッドカーペットを歩く姿と、ローランドさんが警備員に急かされる様子を比較し、扱われ方の違いを強調した投稿も見られた。

一方、女性警備員の同僚らは英DailyMailに対し、女性は適切な対応をしており、「ただ仕事をしているだけ」と述べている。

同イベントで長年警備員をしているという男性は同メディアに対し、「安全がもちろん最優先だが、厳しいスケジュールを守るためには、セレブだとしてもルールを守る必要がある」と語っている。

ハフポスト日本版はカンヌ映画祭広報窓口にメールでコメントを求めている。

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