夫のイクメンぶりを褒めて社内処分の危機!?「よかれと思って」が裏目に出て、夫を不幸にする妻の実態

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夫のためによかれと思ってやったことが、夫を不幸にしてしまうこともあるんだとか。「恋人・夫婦仲相談所」の所長である三松真由美さんに、夫を不幸にする妻の実態を教えてもらいました。

「夫のために」がすべて裏目に!

“良妻賢母”という四字熟語、もし現代で国語のテストで使われるとしたら”良夫賢父”も並列しなければいけません。女性だけが良妻になれなんて不公平ですからね。

とはいえ、今回のテーマでは妻に限定して考えてみます。

皆さんの考える「良き妻」とはどんな妻でしょう?夫が疲れていても笑顔で癒しオーラを出す妻。いつも家の中がきっちり片づいていて、埃ひとつ落ちていないお掃除上手な妻。子どものしつけや教育に手を抜かない妻。

いろいろな妻が、家族の幸せのために日々がんばっているのですが、夫婦仲相談所で話を聞いていると、無意識に夫を不幸にしている妻がいるなと思います。

本人は「夫のために」と思ってやっている行動が、なぜか全部裏目に出てしまう。今回はそんな夫を不幸にする「残念な妻」の実態についてご紹介しましょう。

イクメン夫に感謝!…が裏目に出たカナミさん(仮名/35歳)のケース

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カナミさんはIT企業に勤める夫と、1歳になったばかりの息子との3人暮らし。結婚前はフルタイム勤務だったカナミさんは産休&育休を取り、この4月から息子を保育園に預けて、職場復帰をしたばかりです。

一方、カナミさんの夫は昨年1カ月の育休を取って、カナミさんと一緒に子育てをがんばってくれたそう。

「夫は育児にとても積極的です。私はインスタで育児日記をアップしているので、夫のがんばりをたくさん紹介しています。だからママ友や夫の知人などフォロワーの間では、夫は『模範的イクメン』として有名です。夫は基本在宅勤務なので、昨年の育休が終わった後もたくさん育児に関わってくれています。一方で私の会社は在宅勤務なし。4月から保育園にいれた息子は風邪だの胃腸炎だの感染症にかかりまくりって、頻繁に呼び出しがあります。でも在宅勤務の夫が全部対応してくれるからありがたいです」

こんな風に明るく話していたカナミさんですが、今月になって、夫が会社から訓告を受け、今後の在宅勤務が禁止、関わっていたプロジェクトから外されるなど会社内で処分を受けてしまいました。

その理由は職務専念義務を怠り、勤務時間中に無断で育児のために長時間抜けていたことが会社にバレてしまったからだそうです。

カナミさんの夫に事情を聴いてみると、予想もしていなかった事実がわかりました。

「会社にバレた原因は妻のSNSです。僕が在宅で仕事を抜けて育児をしていることを毎日写真つきでアップしていたんです。もちろん、会社に無断で業務時間内に子どもの相手をしていた僕に問題があります。とは言え『今日も在宅で育児してくれるうちのパパ最高♡』とか全世界に発信されるなんて想定外でした。これじゃあ僕がさぼっていることがバレバレ。同じ会社の誰かが見つけて僕の上司に報告したようです。妻の『イクメンアピール』のおかげで、僕の社内評価は最低です」

夫への感謝のつもりのインスタ投稿が、まさか夫の出世の妨げになるとは、カナミさんも夢にも思っていなかったでしょう。

健康管理は妻の務め!…で夫を苦しめるナツミさん(仮名/45歳)のケース

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ナツミさんは2人の息子と夫との4人暮らし。今の最大の悩みは昨年の夫が受けた健康診断の結果があまりよくなかったこと。血圧が高い、血糖値が高い、尿酸値が高い、中性脂肪が高い、便潜血あり……など問題が山積。

再検査の結果はいずれも「要精密検査・治療」レベルではなかったものの、今からこの状態では先が思いやられると、不安になってきています。

「夫の健康を管理するのは妻の務めですから、まずは日々の生活を変えなければいけないと思いました。最初に食生活を見直し、お米を玄米に変えました。今までは夫の好きな揚げ物や脂身の多いバラ肉のメニューなどをよく作っていましたが魚と野菜中心に切り替えました。最近はさらにマクロビオティックなどを取り入れて、植物性たんぱく中心のメニューの勉強もしています。ビールもプリン体が尿酸値によくないので禁止。和菓子やケーキももちろん禁止にしています。

夫の血圧と体重は毎日測って、アプリで数値の推移を管理しています。土日は放っておくと1日中ゲームをやってゴロゴロしているので、朝6時に起こした後、午前中はウォーキングをしてもらうことにしました。『最低でも1万歩歩くまで帰ってきちゃダメ』と言っているんですが、歩くアプリをチェックすると、1万歩に届いてないので、つい文句を言ってしまいます。でも、これもすべて夫の健康を願う私の愛情です」

こんな風にやる気満々で夫の健康管理に取り組んでいるナツミさんですが、夫は健康になるどころか、最近ストレスでじんましんが出て、気分も沈みがちだそうです。

夫側にも事情を聴いてみたところ、こんな声が返ってきました。

「揚げ物や甘いものや酒が健康を害すると妻は言っていますが、精神的なストレスも健康を害する原因になると思うんです。昨年の健康診断以来、家での食事がまったく楽しくない。いくら体にいい食材が並んでいたとしても、自分が食べたいものを食べられないのはすごいストレスです。

ときどきどうしても脂っこいものや甘いものが食べたくなるんですが、絶対に家では食べられない。仕方がないので、会社の帰りに暗くなった公園のベンチでドーナツや豚バラ丼をこっそり食べていて…情けない気持ちで泣きたくなりますよ。ときどき何もかも嫌になります」

夫の健康を願っての食生活改善が、まさか夫のメンタルヘルスに悪影響を及ぼすとはナツミさんも夢にも思っていなかったでしょう。

夫のために=正義ではない!

今回紹介した事例では、どちらのケースも夫自身にも少なからずマズイ点がありました。また、妻たちが夫に対して悪意を持っていたわけでもありません。にもかかわらず、夫を苦しめることになってしまったわけです。

「夫のために」と思ってやれば「すべて正義」とは限りません。似たような夫婦のすれ違いはいくつも例を聞いています。健康オタクの妻のルールに従わないと愚痴を言われ続ける夫。寝転んで動画を見たいのに、子どもが真似すると困ると言って絶対にくつろがせてもらえない夫。

「よかれと思ってやった良妻行動」が夫を苦しめる場合があることも考慮して、相手がどう思っているかをヒアリングするようにしましょう。相手の声を聞く耳を持つことで、押し付けになっていないかチェック!また「夫のために」が、じつは「自分のため」になっていないかも、一度振り返ってみましょう。

これらを意識することで、夫を不幸にする妻になることを回避できるでしょう。

◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。

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出典:Amazon

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