生理について話そう 5月28日は世界月経衛生デー

Image credit: : KOTEX SHE CAN

生理を恥ずかしく思う「ピリオド・シェイム(生理恥)」はジェンダー不平等から生まれる。

コロンビア・カルタヘナの混雑した広場で、24歳のヴァレリアは自信に満ちた様子で群衆のなかを進む。ヴァレリアをじっと見る人、指差す人、ささやく人たちがいる。ある女性が彼女に気付いて近づく。「あなた、血が染みているわよ」。その女性は、ヴァレリアが、国際NGOプラン・インターナショナルの立ち上げた、生理中の健康を正常化するための社会実験に参加していることに気づいていない。(翻訳・編集=小松はるか)

世界月経衛生デー(5月28日)は今年で10年目を迎える。世界では出産が可能な年齢の女性の少なくとも4人に1人が、生理用品を手に入れたり、清潔なトイレに行くなど生理を管理するのに必要なものを手に入れられていない。生理はいまだに少女たちの個人的な問題、恥ずかしいものや嫌悪感を抱くものと考えられている。教育や世代間の協議、啓発キャンペーンを通じて、私たちは「なぜ生理について話すことはいまだにとても難しいのか?」という疑問に共に挑み、取り組むことができる。

明確にしよう。生理恥はジェンダー不平等に起因する。世界経済フォーラムは、人類が真の世界的なジェンダー平等を達成するまでには131年かかると予測。それまでにジェンダー平等を実現するために、私たちは経済的利益を上げながらも、生理中の健康と少女の自尊心に良い影響をもたらす官民連携を推進することができる。

私たちプラン・インターナショナルがキンバリークラーク財団とキンバリークラークの生理用品ブランド「Kotex」と連携しているのはこのためだ。2020年以降、私たちはKotexの「She Can」イニシアチブに共に取り組み、世界8ヵ国で少女や若い女性たちに向けて生理中の健康に関するプログラムを実施した。このプログラムは、考え方、行動、慣行を変える取り組みを通じて、生理恥の根本原因に取り組むために考案されたもの。それにより、少女たちの自信、主体性を持って行動する力、尊厳を引き上げる環境を推進するものだ。

企業パートナーは、生理恥という問題に有効に取り組み、企業のボトムライン(純利益)を増やすために、以下のようなプログラムを支援することができる。

少女たちの自尊心を高める

生理にまつわるタブーや神話、羞恥心は、いじめや辱め、阻害をもたらし、少女たちの高潔な感性にマイナスの影響を及ぼす。だからこそ、Kotexとのプログラムの一環として、私たちは少女たちに生理中の健康について教え、学校やコミュニティで他者に知識を広めるリーダーになるよう訓練をしている。

企業は、リーダーとして少女たちと連携することもできるし、生理にまつわる神話やステレオタイプ、タブーをなくすためのプログラムに投資することで、彼女たちの自尊心を高めることができる。そうすることで、職場で制限されることなく専門知識を共有でき、さらに同級生から辱められたり、沈黙させられることを恐れないリーダー世代が育つのだ。

少女たちが学校やそれ以外の場に参加し、能力を発揮できるよう後押しする

生理中の健康は学校の出席や出勤に多大な影響をもたらし、発展途上国では生理中の少女の多くが授業や仕事を休んだりする。その理由は、文化的に定着している考えであったり、国によって異なっている。なかには、生理になると強制隔離されることもある。また、情報や必需品、衛生設備への十分なアクセスを妨げる偏見やタブーの存在がある。月経が始まっている少女は結婚の準備ができていると捉えるケースもあるのだ。

少女たちのニーズに応えるべく、プラン・インターナショナルでは、仲間や学校、コミュニティの人たちを巻き込み、月経についての正しい情報を伝え、月経中の健康を維持できるよう支援する環境をつくっている。企業は、少女が学校や職場で最大限可能性を発揮し、貢献できるようにするために、少女や若い女性を含むあらゆる人のニーズに対応する職場文化を発展させることができるのだ。

少女たちが、社会のあらゆる場に全面的に参加できるようにする

世界中の少女や女性たちは生理中に、入浴や料理など通常の活動を控えるよう往々にして求められ、家から追い出されることさえある。だからこそ、私たちは生理中の健康の重要性を地域社会に認識させ、少女たちを押しとどめる思い込みをなくすために教育キャンペーンを考案してきた。私たちはKotexと共に、生理中の健康のための8つのプログラムを100万人以上に届けてきた。企業は、生産性を向上させ、常習的な欠席を減らし、すべての従業員の協調関係を育み、ジェンダー平等の責任を果たす職場文化を発展させるための政策や慣行に影響をもたらすことができる。

今から10年後、少女たちの可能性が、生理という正常な生物学的機能によって妨げられることのないよう願っている。それは、少女たちが生理について国民の意識を高めるキャンペーンを行う必要のない世界だろう。そうなれば私たちは、教育課程を修了し、どんな未来を手に入れたいかを決めることのできる、少女たちのストーリーを取り上げるだろう。少女や女性たちが働く場に完全に参画できた時、誰もがボトムラインをはじめ利益を得られる。

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