川崎志穂がイップスから立ち直った不思議な理論 吊り革の持ち方であなたのグリップが合っているかが分かる!?

吊り革の握り方であなたに合ったグリップが分かる!?

「もう少しハンドダウンにした方がいいよ」「フックグリップの方が力が入るよ」などなど、いろいろなアドバイスをもらってもどこかしっくりこない……そんな経験はないだろうか?

川崎志穂(川崎プロの「崎」の字は環境依存文字のため「崎」と表記しています)などを教えるPGAティーチングプロA級を取得する平尾貴幸氏は「人によって力の入る角度や負担の少ない姿勢は違います。100人いれば100通りの打ち方があるのです。パワーコネクティングならあなたの力を引き出せるアドレスを見つけられますよ」という。

パワーコネクティングとは一体どんな理論なのか? 川崎と平尾氏が教えてくれた。

平尾:パワーコネクティングはトレーナーの木村匡宏さんが1,500名以上のアスリートのパフォーマンスを元に開発した、パフォーマンスを向上させるメソッドです。私はそれをゴルフスイング版にアレンジして、女子プロの川崎志穂などに教えています。

パワーコネクティングは今までのゴルフレッスンと異なり、100人いれば100通りの打ち方があるという考え方です。1人ひとりの体には個性があって、力が入りやすい角度や体に負担が少ない姿勢が異なります。自分に合わない姿勢だとパワーを出し切れないだけでなく、ケガのリスクもあるんですよ。今回はお試しとして、フィンガーグリップとパームグリップのどちらが合っているかをみていきましょう。

川崎:一時期スイングを変えて、イップスになってしまったこともありました。でも、それは自分に合っていない動きをしようとしていたから。自分に合った動きを取り入れるようになって、段々とイップスを克服できました。みなさんもぜひ試してみてくださいね!

平尾:フィンガーグリップとパームグリップのどちらが合うかは、日常生活の動きから見分けられます。みなさんは電車で立って吊り革を持つとき、指先で握りますか? それとも吊り革の輪っかに手を入れて、手のヒラや手首を置きますか?

川崎:私は指先で握りますね。輪っかに手を入れることってないかも。

平尾:指先で握る人はフィンガーグリップが合っています。一方で、輪っかに手のヒラや手首を引っかける人はパームグリップが合っているはずです。

川崎:最初にフィンガーグリップで教わる人も多いと思いますが、実はパームグリップが合っているというケースもあるんですね。

平尾:その通り! もし、誰かが近くにいるのなら、2人で診断してみましょう。まずは、左手の第2関節を右手の指で2~3回擦ってみてください。そうしたら、ヒジを体に付けて90度くらいに曲げ、腰を落として重いものを引っ張るような姿勢を取ります。この姿勢ができたら、もう1人に手を引っ張ってもらいましょう。

川崎:第2関節を擦ると、グッと力が入る感覚があります。引っ張られても動きません。

平尾:次に、手のヒラを2~3回擦ったら、先ほどと同じ姿勢を取って引っ張ってもらいましょう。

川崎:同じようにしているのに、こっちだと全く力が入りません。引っ張られるとすぐ動いてしまいます。

平尾:これは『固有覚』というものが関係します。人間の筋肉や関節にはセンサーのようなものが備わっており、無意識に力をコントロールしています。指で擦ることで、その部分が刺激され、無意識のうちに力が引き出されるというメカニズムです。

第2関節を擦って力が入る人はフィンガーグリップ、手のヒラを擦って力が入る人はパームグリップが合っています。

川崎:見ている側は、これで本当に力の入り具合が変わるのか? と思うかもしれません。でも、実際にやってみると本当に差が出るんです。あなたに合うグリップがどちらか、ぜひ試してみてくださいね!

■川崎志穂
かわさき・しほ/1996年生まれ、千葉県出身。2017年にプロ入り。身長170センチの長身から放たれる260ヤード越えのロングドライブが武器。ミツウロコグループ所属

■平尾貴幸
ひらお・たかゆき/1979年生まれ。日本大学ゴルフ部出身で25歳からレッスン活動をスタート。川崎志穂を17歳から指導し、新垣比菜などのコーチも務めた。PGAティーチングプロA級取得

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