和歌山市とパナソニック、省エネでも快適なオフィス作りで連携 既築ビルのZEB化推進で脱炭素

和歌山市とパナソニック エレクトリックワークス社は5月27日、環境品質を落とさず、省エネを実現するZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とウェルビーイングの普及拡大に向け、連携協定を結んだと発表した。和歌山市で働きたい、和歌山市に住みたいと選ばれる環境整備と脱炭素社会の実現を目指す。

「和歌山市では、2050年に向けてカーボンニュートラル宣言をしている。その中で、脱炭素社会は喫緊の課題であり、和歌山市としてもさまざまな施策を民間や市民の方とともに取り組む必要がある。今回の提携は、ZEBという形で、ビルについてもネットゼロを推進していこうというもの。ただ、省エネだけでは人々の職場環境はなかなか成立しない。ウェルビーイングを生かし、環境創造型の働きやすい環境づくりも推進していきたいと考えている」(和歌山市長の尾花正啓氏)と取り組みの背景について話した。

パナソニック エレクトロニックワークス社では、4つの自治体とZEBに関する協定を結んでいるが、ウェルビーイングまで含めて取り組むのは今回が初めてとなる。

今回の協定では、既存のビルに向け、省エネ化、ZEB化を図っていく方針。照明や空調の高効率化、部屋の照度の最適化などを検証し、設備を改修していく。

改修するビルについては、パナソニック側から条件を提案し、その条件に合致する建物を和歌山市とともに選定していく流れ。具体的な選定はこれからとしているが、10件程度を選定していく計画だ。

「既存の建築物におけるZEB化は行政だけでは難しく、パナソニックのようなノウハウを持たれているところと共同で取り組んでいくことが大事。パナソニックが持つ先進的な技術に非常に期待している。また、省エネだからといって、クーラーをつけるのを我慢するのでは熱中症になる危険性がある。オフィス内の冷房は28度としても、それでは暑いという人もいて、効率が余計悪いかもしれない。ウェルビーイングな脱炭素の進め方が必要だと思っている」(尾花氏)と注目ポイントを挙げた。

和歌山市はパナソニックの創業者である松下幸之助氏の生誕の地。「体育館など建築物の寄贈や施設への電気設備の採用などを通じて、地域密着型の営業を行い、和歌山のお役に立つため日々取り組んでいる。今回の協定では既存の建築物のZEB化を推進し、ゼブレディを中心に取り組んでいきたい」(パナソニック エレクトリックワークス社マーケティング本部和歌山電材営業所課長の石野仁大氏)と、和歌山市とパナソニックの関係について紹介した。

今回の協定では、(1)公共施設及び民間施設のZEB化改修の可能性調査に関すること、(2)ZEB化手法の検討に関すること、(3)ZEB化の認知度向上及び普及促進に関すること、(4)環境創造型Well-Beingの普及促進に関することの4つを連携事項として掲げる。

和歌山市では、中小企業をはじめとする市内法人においては、まちなかに誘致された5大学や和歌山大学等の卒業生の採用促進・定着率向上に寄与する働きがいあるオフィスが求められているとのこと。ZEB化とウェルビーイングを組み合わせることで、市民の移住・定住に寄与する過ごしやすい快適空間の提供を目指す。

パナソニック エレクトリックワークス社マーケティング本部和歌山電材営業所所長の判野圭司氏は「ZEB化の推進に加え、環境創造型ウェルビーイングの普及拡大もこの協定には盛り込ませていただいている。和歌山市内のオフィスで働くみなさまがいきいきと快適に過ごせるよう、今まで数多くのオフィス提案で培ったパナソニックの知見をいかした空間提案をしていく。特に光と空気、照明と空質にこだわり、エコと快適で働きがいのある要素を両立したオフィス環境を提案、提供し、人が集い、人に選ばれるオフィス、住みたいまちづくりに貢献していきたい」とした。

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