都知事選は事実上の与野党対決に “女帝”小池百合子氏の胸を借りる蓮舫氏の「勝算」

東京都知事選に出馬表明をした蓮舫氏(C)日刊ゲンダイ

この夏の東京都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)はガ然面白くなりそうだ。立憲民主党の蓮舫参院議員(56=東京選挙区)が27日、立候補を正式表明。「反自民党政治、非小池都政、オール東京の皆さんに支援していただいて選挙に臨みたい」と訴えた。学歴詐称疑惑が再燃している現職の小池百合子知事(71)は3選を狙う構えを崩さず、29日にも出馬表明する予定だ。事実上の与野党対決となる見通しの首都決戦を制するのはどちらか。女帝の胸を借りる格好の蓮舫氏の勝算は──。

◇ ◇ ◇

党本部で会見した蓮舫氏は、「裏金自民、『政治とカネ』の自民党政治の延命に手を貸す小池都政をリセットする。その先頭に立つのが私の使命だと考えています」と強調。国会質疑でおなじみの舌鋒鋭い早口を封印し、その語り口は終始ゆっくりと穏やか。有権者を意識した戦闘モードはすでにオンだ。

都知事選にはほかに20人超が立候補の意向を示していて、「最終的に候補者は30人を上回り、過去最多記録を塗り替えそう」(全国紙社会部デスク)とのこと。今回も乱戦必至だが、勝敗に絡めるのは一握りだ。流動人口が多い東京では知名度の高さがモノを言う上、選挙のセオリーでいけば現職が圧倒的に有利。蓮舫氏に勝機はあるのか。

選挙情勢に詳しいジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう指摘する。

■草刈り場は6割の無党派層

「蓮舫氏はリアリスト。立憲民主党は衆院3補選で全勝し、続く静岡県知事選や都議補選(目黒区)でも勝った。本人が言っていたように、勝利の積み重ねが決断を後押しした側面はあるものの、何らかの勝算がなければ参院議員のバッジを外さないでしょう」

2人とも無所属で立つものの、小池知事のバックには子分の都民ファーストの会、かつては敵対した自民、仲良しの公明党が控え、支援を受ける。一方、立憲や共産党、市民団体からなる選定委員会の統一候補となった蓮舫氏も組織にガッチリ支えられている。

「公明党はフル回転できますが、裏金事件でよれよれの自民党の組織力は明らかに弱っています。かたや活動量を増やしてきた立憲民主党は支持を広げているし、共産党は前回2022年の参院選では都内で約59万票(比例代表)を獲得している。ほぼ基礎票としてみてよく、いい勝負まで持ち込めるでしょう。草刈り場となるのは、6割を占める無党派層。世論をつかむ政策を打ち出し、風を呼び込む選挙戦を展開できるかが勝敗を分けるとみています」(鈴木哲夫氏)

口さがない永田町では「学歴詐称vs二重国籍のいわくつき対決」なんて揶揄されているが、役者がそろったことは間違いない。

© 株式会社日刊現代