「一緒に死のうと考えた」発達障害の息子への殺人未遂罪に問われたシングルマザーの裁判 療育に悩み心中図った状況明らかに

去年10月、福岡県志免町の自宅で当時9歳の息子の首を絞めて殺害しようとしたとされる母親の裁判員裁判。

28日の初公判では、発達障害のある息子を一人で育てていた母親が追い込まれていった状況が浮かび上がってきました。

9歳の息子の首を絞めて殺害しようとした母親自ら「息子を殺した」と警察に通報

起訴状によりますと、去年10月、志免町に住む当時30代の無職の母親は、自宅で当時9歳の息子の首を携帯電話の充電コードで絞めて殺害しようとしたとして、殺人未遂の罪に問われています。息子は顔などに重傷を負ったものの、命に別状はありませんでした。

事件当時、母親は自ら「息子を殺しました」と警察に通報。

取り調べに対し、「一緒に生きていく気力が無くなった」という趣旨の供述をしていたということです。

初公判で起訴内容認めた母親検察が徐々に追い込まれていった状況を明らかに

28日に福岡地裁で開かれた初公判で、母親は、「違うところはないです」と起訴内容を認めました。

検察側は冒頭陳述でシングルマザーである被告は同居する両親と発達障害がある息子を養育していたが、おととしから去年にかけて、両親が相次いで施設に入所したうえ、去年夏ごろに被告自身も無職に。

不安や孤独感を抱えるなかで去年10月に学校を休みがちになった息子の気持ちを理解できず、「一緒に死のうと思い犯行に及んだ」と主張しました。

また、犯行時の状況については、二重にした充電コードで息子の首を絞め、息子の呼吸が浅くなったことで放置していても死ぬと考え、自分の首を包丁で切りつけながら110番したと説明しました。

弁護側 息子が元気で過ごしていることなど挙げ情状酌量求める

一方、弁護側は事実関係については争わないとしたうえで、・被告が当時、不眠やパニック障害などの精神疾患を患っていたこと・息子に後遺症はなく、現在も児童養護施設で元気に過ごしていることなどを挙げ、情状酌量を求めています。

判決は30日に言い渡される予定です。

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