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ジェイムズ・ウォーターハウス・ウクライナ特派員(キーウ)、マット・マーフィー(ロンドン)
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は27日、西側諸国の指導者らに対し、必要な「あらゆる手段」を使ってロシアに和平への圧力をかけるよう求めた。
訪問中のスペインでの演説でゼレンスキー氏は、「ウクライナを破壊して先に進もう」としているロシアに対し、「具体的な強制力」を加える必要があると述べた。
ゼレンスキー氏は以前から、ロシアが2014年に併合したクリミアを含むウクライナの全領土から部隊を撤退させない限り、直接交渉はしないとしている。
しかし今回は、ロシアが前進していることや、ウクライナで西側諸国からの兵器が不足していることを受けて、西側に要請した。
ゼレンスキー氏はこの日、スペインのペドロ・サンチェス首相と首都マドリードで会談。その後の記者会見で、ロシアは毎月3200発の滑空誘導爆弾をウクライナに落としていると述べ、「これとどう戦うのか?」と問いかけた。
また、来月スイスで予定されている平和サミットにロシアを招くというアイデアをはねつけた。
平和サミットには、90カ国以上の代表が出席するとみられている。
代表団はこのサミットで、ウクライナ政府が提示した10項目の要求に基づき、ウクライナでの公正で永続的な和平の道筋を模索する。要求には、侵略された全領土の返還、戦争関連の損害に対する賠償金の支払い、ロシアの戦争犯罪を訴追する特別法廷の設置などが含まれている。ロシア政府は、この計画を全面的に拒絶している。
クレムリン(ロシア大統領府)のドミトリー・ペスコフ報道官は、ウラジーミル・プーチン大統領は協議に参加する用意ができているが、それは「特別軍事作戦(ロシアでのウクライナでの戦争の呼称)によって達成された目的を確保するため」だけだと述べた。
ゼレンスキー氏はまた、西側諸国の指導者らに対し、供与された武器を国際的に承認されたロシア領土への攻撃に使用するのを禁止する措置を、解除するよう求めた。
アメリカを含むほとんどの西側諸国は、ウクライナが自軍の攻撃を、自国の領土を占領しているロシア軍に集中させるよう求めている。
しかしゼレンスキー氏は、「我々は協力し、ロシアだけでなく、パートナーの国々にも圧力をかけ、ロシアに対して自衛する機会を我々に与えるよう働きかける必要がある」と述べた。
平和サミットへの展望
欧米の同盟国は数十億ポンド相当の援助を行う条件の一つとして、ウクライナがこの戦争をどのように終わらせるかについて独自のビジョンを描くことを要求している。
ゼレンスキー大統領が先に、ロシア軍の完全撤退や将来のロシアによる侵略に対する保証を含む「10項目の和平計画」を発表したのはそのためだ。
これらはウクライナが常に求めてきたものだったが、そのトーンは変わってきている。
スイスでの平和サミットは、ゼレンスキー大統領にとって緊急度の高いものとなる。ゼレンスキー氏はここで国際的な機運を盛り上げたいと考えている。
これまでは、ウクライナがロシアの完全撤退を要求し、西側諸国はそれを支持しようとしてきた。ゼレンスキー氏にとってこのサミットは、こうした条件を友好国にとっても交渉の余地がないものとし、交渉のテーブルを遠ざけておく唯一のチャンスかもしれない。
参加国が増えれば増えるほど、クレムリンに対する政治的圧力は増すだろう。
少なくとも、それがウクライナ側の望みだ。
一方のプーチン大統領は、いかなる和平協定も「戦場の現実を反映」したものでなければならないと述べている。その現実とは、ロシア軍がウクライナ北東部ハルキウ州で、国境を越えた大攻勢を続けていることだ。その結果、さらに多くの村が占領されている。
そして、この18カ月の間そうであったように、ロシア兵たちは単に領土を占領しているだけでなく、その領土を維持し続けている。ロシアは、あるいはプーチン氏は、まだ何も譲歩する必要はない。
だがウクライナは、いかなる譲歩もグレーゾーンもロシアの思うつぼだと主張。ロシアの10年にわたる侵略の間にあった、失敗した停戦の例を挙げる。また、世界が目をそらしている間に、プーチン氏はいずれウクライナ全土を手に入れたいと考えるようになると指摘する。
ウクライナの司令官らは戦況を掌握していると主張している。ゼレンスキー氏が外訪を再開したのもそのためだろう。
大統領のマドリード行きを後押ししたのは、戦争疲れと闘い、継続的な軍事・人道支援を確保する必要性だ。
スペインから発表された10億ドル(約1570億円)の支援は、ゼレンスキー氏の外交がまだ実を結ぶ可能性があることを示している。