今季ウォリアーズでプレーしたポールが今夏のFA市場へ参戦?“ポイント・ゴッド”の移籍先候補は<DUNKSHOOT>

今夏のFA(フリーエージェント)戦線は、ロサンゼルス・レイカーズのレブロン・ジェームズ、ロサンゼルス・クリッパーズのポール・ジョージ(両選手ともプレーヤーオプション)が市場に参戦する可能性があり、大きな注目を集めている。

ガードではタイリース・マキシー(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)、イマニュエル・クイックリー(トロント・ラプターズ)が制限付きFAだが、どちらも所属チームと大型契約を結ぶ様相。そのため、クリッパーズのジェームズ・ハーデン、ワシントン・ウィザーズのタイアス・ジョーンズ、レイカーズのスペンサー・ディンウィディー、シクサーズのカイル・ラウリーといった完全FA組の争奪戦が繰り広げられる見込みとなっている。

そんななか、元オールスターガードのクリス・ポールも市場に参戦するかもしれない。キャリア19年目の今季、ゴールデンステイト・ウォリアーズでプレーした“ポイント・ゴッド”は、58試合の出場で平均9.2点、3.9リバウンド、6.8アシスト、1.2スティールをマーク。平均得点が2桁を下回ったのはキャリア初で、アシスト数も自身2番目に低い数字となった。

ただ、成績が下降した理由はチームにステフィン・カリー、クレイ・トンプソンという実力者がおり、ベンチスタートになったことが要因だ。39歳の大ベテランは途中ケガで離脱したものの、新たな環境に身を置き、アシストとスティールのアベレージでチーム最多と、実力が健在であることを示した。
4月17日(日本時間18日、日付は以下同)のシーズン終了会見で、スティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)はポールについて「素晴らしかった。コート上の働きだけでなく、彼の持つリーダーシップ面でもそうだ。彼にとっては難しい状況だったが、見事に対応してくれた」と評価していた。

今季のウォリアーズはプレーイン・トーナメントでサクラメント・キングスに敗退。2010年以来14年ぶりにプレーオフの舞台から遠ざかることになったポールは、キャリア19年目をこう振り返っていた。

「ユニークな経験になった。チームでいろんな人たちと初めて会い、その組織のために一緒にプレーする機会を得たことを嬉しく思う。彼らと一緒にプレーするなんて、全く想像もしていなかったからね。でも僕はこの経験をありがたく思っているよ」

契約最終年となる来季の年俸3080万ドル(約48億480万円)は無保証となっており、6月28日のデッドラインまでにウォリアーズがポールと決別した場合、すぐさま実力派FAの1人になる。
ウォリアーズはポールのサラリーを含めた来季の年俸総額がおよそ1億7540万ドル(約273億6240万円)と超高額。さらにトンプソンとダリオ・シャリッチがFAになることから、ポールに高額年俸を払うのではなく、期限までにウェイブ(保有権の放棄)かトレード要員にして戦力補強へ動く可能性がある。

そうしたなか、NBAインサイダーのマーク・スタイン記者は、23日に自身の会員制サイト『The Stein Line』を更新し、ポールはレイカーズ、サンアントニオ・スパーズと「繋がりがある」と報道。さらに26日に更新した同サイトでは控えガードとして古巣クリッパーズ行きにも関心があると報じた。

長年の友人レブロンとポールがレイカーズで共闘となれば、リーグ最高級のバスケットボールIQの持ち主が2人も揃い、プレーメーキング面で大きな助けになることは間違いない。

ただ、そのためにはレブロンがオプション行使または完全FAになって再契約すること、さらにプレーヤーオプションのディアンジェロ・ラッセルが退団することが条件となりそうだ。
スパーズはキャップスペースに余裕があり、新人王ヴィクター・ウェンバンヤマを筆頭に伸びしろのある若手が揃っている、プレーオフチームへ変貌する過程でリーダー兼メンターとして適任だが、キャリア最終盤で優勝を欲するポールが入団を望むかは微妙。

ではクリッパーズはどうか。ポールは2010年代中盤に6シーズン在籍し、プレーオフ常連チームへ押し上げた功労者の1人。だが来季の年俸総額が1億7035万ドル(約265億7460万円)を超えていることから、プレーヤーオプションのジョージ、ラッセル・ウエストブルック、PJ・タッカーが全員退団でもしない限り、古巣復帰は厳しいかもしれない。

すでに現役続行を表明しているポールは、来季でキャリア20年の節目を迎える。悲願のタイトル獲得に向けて、どのチームへ加入するのかは気になるところだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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