ビール作り始まりの地で 歴史とおいしさを知る

テレビ北海道本社がある創成イースト地区の話題をお届けする「つながる創成イースト」。今回は、この地域ならではの「まち歩きツアー」をご紹介します。

小澤良太アナウンサー「きょうは、ビールと札幌の歴史を学ぶツアーが行われるということで、どんなツアーなのか、行ってみたいと思います」

創成イーストのまち歩きツアーを開いたのは、地元密着のまち歩きを企画している「ディスカバー・エゾ」。代表の伴野さんがこのツアーを始めたきっかけの一つは、コロナ禍で飲食店が大きなダメージを受けたことでした。

伴野博士さんは「食べ物にはちゃんとしたストーリーと歴史があるからそれを伝えるということをやっていたんですけど、食べ物のバックグラウンドを伝える人がいないなと思ったので、それを伝えることが間接的に飲食店の応援になるのかなと思って始めました」と思いを語ります。

今は「サッポロファクトリー」になっているこの場所は、明治9年にサッポロビールの前身である「開拓使麦酒(ビール)醸造所」が作られた場所。ビール造りは「殖産興業」を推し進めていた明治政府・肝いりの事業の一つだったのです。 そんな、札幌とビールの歴史を、ゲームなどを交えて楽しく学ぶことができるのがこのツアー。
ビール好きの参加者が楽しみにしていたのが、「飲み比べ」。3種類のビールを飲んで、どのビールか当てるゲームです。特徴ある茶褐色のビールはホップがガツンと効いた「アルト」です。そして北海道民にはおなじみの味、「クラシック」も。

特に印象的だったのは、日露戦争とビールの話です。戦争の費用を調達するために、酒税が大幅に引き上げられました。当時は、税金の「先払い」が必要で、ビール会社の経営を直撃したといいます。 倒産の危機に直面するビール会社を救った人の銅像がサッポロファクトリーの敷地内にありました。「サッポロビール中興の祖」と呼ばれている植村澄三郎です。 

日露戦争の直前に打ったキャンペーンポスターに自由の女神などと共に書かれていたのは「ビールと愛国心」の文字。 サッポロビールは、麦もホップも全部、日本のものを使っているので、国を思うならサッポロビールを飲んで日本を応援しましょうというキャンペーンを展開したといいます。これでサッポロビールは危機を乗り越えシェアを拡大したといいます。

これから本格的な夏を迎え、ビールがおいしくなる季節。ツアーの人気も高まりそうです。

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