BS、次期CEOは社内から採用

セルジオ・エルモッティ氏は2023年4月、スイス政府の介入を経て成立したクレディ・スイスの救済買収からわずか数日後にUBSの最高経営責任者(CEO)に返り咲いた (KEYSTONE/© KEYSTONE / MICHAEL BUHOLZER)

UBSは、約3年後に任期を迎えるセルジオ・エルモッティ氏(64)の後任最高経営責任者(CEO)を社外からは採用しない方針だ。社内候補者を3人に絞っている。

関係者によると、UBSは次期CEOをグループ外から採用しない方針で決定済みだ。早ければ来年の株主総会で後継者候補を明らかにする可能性があるという。

候補者は現取締役会から選出される見込み。エルモッティ氏の後を継ぐ前に経験を積むため、役職が追加・変更されることになりそうだ。

計画に詳しい人物の1人は「候補者の権限を拡大するためだ。実力を証明する時間が要るだろう」と語った。

エルモッティ氏は2023年4月、スイス政府の介入を経て成立したクレディ・スイス(CS)の救済買収からわずか数日後にUBSのCEOに返り咲いた

契約内容を知る人物によると、エルモッティ氏は3年にわたるCS合併過程を監督し、統合後の成長戦略を策定するため、3~5年間CEOを務める約束だった。後継者の育成も同氏の任務の1つだ。

後継者争い

UBSのコルム・ケレハー会長は昨年、フィナンシャル・タイムズ主催の銀行サミットで、UBSは同氏の前職モルガン・スタンレー(MS)の例に倣うことを検討していると述べ、後継者争いの火ぶたを切った。

MSは昨年、長年CEOを務めたジェームズ・ゴーマン氏の退任に当たり、後継者として社内に数人の候補者を立てていた。最終的にテッド・ピック氏に白羽の矢を当てた。ゴーマン氏は23日、今年末に会長職を退くと発表した。

しかしUBSの組織構造はMSとは異なる。MSではピック氏ともう1人の候補者だったアンディ・サパースタイン氏が共同社長としてグループの大半の責任を共有している。

UBSでは部門長がグループの取締役会に加わり、CEOの直属となる。関係者によると、UBSの取締役会は後継者候補の育成のため、組織の微調整や幹部の役割変更を検討した。

候補者は?

候補者リストに誰が入るかについては最終決定されていない。UBSの中核であるウェルスマネジメント(資産管理)部門の責任者、イクバル・カーン氏の名が浮上している。

投資銀行部門の責任者、ロブ・カロフスキー氏やUBSの非中核・旧来部門を監督するベア・マルティン氏も有力候補だ。後者はCSの不要事業の処分や清算を担当する。マルティン氏は最近、持続可能性の監督も職務に加わった。

UBSのスイス事業を統括するザビーネ・ケラー・ブッセ氏も有力候補とみられている。

UBSの取締役会が後継者計画を策定する傍ら、経営陣は2行の事業統合に全力を注いでいる。5月末までに法人を統合する。

エルモッティ氏はまた、銀行資本に関する新規制をめぐりスイス当局との交渉にも奔走している。新規制で資本要件が強化される可能性があり、UBSはこれに反対している。

UBSはコメントを拒否した。

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英語からの翻訳:ムートゥ朋子、校正:大野瑠衣子

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