飲酒運転当て逃げ→組織的隠蔽図った韓国歌手、事故後もコンサート強行開催した理由…“カネ”目的?

韓国歌手キム・ホジュンが飲酒運転当て逃げ事故を認めた後もコンサートを強行した理由は、125億ウォンに達する「前渡金」を受け取るためだと推定される。

本紙『スポーツソウル』が5月28日、企業データプラットフォーム企業「ディープサーチ」を通じて、キム・ホジュンが所属する芸能事務所THINKエンターテインメントの財務諸表(2023年12月31日)を確認した。

その結果、前渡金が約125億6956万ウォン(日本円=約14億4864万円)に達していたことがわかった。

公演を強行しなければ収益を上げられず、莫大な借金を抱えるところだったわけだ。

飲酒運転当て逃げ→組織的隠蔽

前渡金は通常、企業が商品などを販売する前に、契約金として予め代金を受け取る場合を指す。

THINKエンターテインメントが125億ウォンを資金として調達して使用したのは、今年のコンサート収益でこれを十分に返済できると判断したものと見られる。

前渡金は返済しなければならないお金であるため、負債に該当するが、財務諸表上は負債として捉えられない。

公示によると、THINKエンターテインメントの負債は2021年に約49億ウォン(約5億6494万円)、2022年に約47億ウォン(約5億4188万円)に達したが、2023年には約3億ウォン(約3458万円)まで急減した。

実際の借金は約128億ウォン(約14億7510万円)に達したが、公示上ではそうではなかった。

このような理由から、実際の利益を計算する当期純利益も上昇した。

2022年の当期純利益は約13億ウォン(約1億4981万円)だったが、2023年には約32億ウォン(約3億6887万円)まで増加していた。

キム・ホジュンが年間で稼ぐ収益を考えれば、数年間の公演を通じて十分に挽回できると考えていたはずだ。

(写真提供=OSEN)キム・ホジュン

しかし今回、飲酒運転当て逃げ事故と会社ぐるみの組織的隠蔽という過去に類を見ない大騒動が発生したことで、事務所は事実上の廃業の手順に至ることになった。

キム・ホジュンは5月9日23時40分頃、ソウル江南(カンナム)区・狎鴎亭洞(アックジョンドン)の道路で、対向車線のタクシーに衝突する事故を起こした後、逃走した疑惑(道路交通法上の事故後の未措置)を受けた。

キム・ホジュンは事故を起こした後、京畿道(キョンギド)のとあるホテルに宿泊。そして、事故発生から17時間後の10日16時30分頃、警察に出頭した。

ただ、事故発生から3時間後、キム・ホジュンのマネージャーがキム・ホジュンの服装で警察に出頭し、自身が事故を起こしたと虚偽の供述を行っていた。また、THINKエンターテインメントチョン本部長が、キム・ホジュンが運転していた車のブラックボックスからメモリーカードを除去するなど、組織的に犯罪を隠蔽しようとした情況も明らかになった。

この期間、キム・ホジュンは事故発生直後の11日と12日に高陽(コヤン)、さらには事故発覚後の18日と19日に昌原(チャンウォン)で、「TVAROTTI CLASSIC ARENA TOUR 2024」公演を強行開催していた。

容疑を否認し続けていたキム・ホジュンだが、19日夜遅くに飲酒運転の事実を認め、21日に警察に出頭。24日にソウル中央地裁で拘束前被疑者尋問(令状実質審査)を受けた後、江南(カンナム)警察署の留置場に連行された。

“キム・ホジュン問題”の余波

THINKエンターテインメントは27日、「キム・ホジュン問題で多くの方に失望を抱かせた点を繰り返し謝罪申し上げる」とし、「今回の事件と関連して役職員全員が退社し、代表理事職変更を決めた」と明らかにした。

THINKエンターテインメントの持分は、個人や企業など多様に所有されている。廃業後、持分整理の手続きを踏むことになる場合、資産整理にも苦労するものと見られる。

THINKエンターテインメントが金融監督院に提出した監査報告書によると、イ・グァンドク代表(28.4%)、チェ・ジェホ理事(29.7%)、コメディアンのチョン・チャンウ(28.3%)の3人が持分を所有している。

また、カカオエンターテインメント(10%)とSBSメディアネット(3.6%)も持分を保有している。

業界のとある関係者は、「THINKエンターテインメントは、所属事務所の持分が相当に割れているため、清算作業も思ったより複雑だろう」と話した。

キム・ホジュン問題によって、同事務所に所属するほかの芸能人にも被害が及んでいる状況だ。

現在、THINKエンターテインメントにはキム・ホジュンをはじめ、俳優キム・グァンギュ、俳優ソン・ホジュン、俳優イ・チョルミン、俳優コン・ジョンファン、7人組ボーイズグループTAN、トロット歌手クム・ジャンディ、タレントのホ・ギョンファン、元サッカー韓国代表のイ・ドングッ、元プロ野球選手のポン・ジュングンなど、多数の芸能人・著名人が所属している。

キム・ホジュン問題と関連し、THINKエンターテンメントは所属芸能人と協議する際、専属契約を終了すると明らかにした。

THINエンターテインメントは「所属アーティストにも謝罪の言葉を伝える。今後のマネジメント事業の継続について検討している。所属アーティストの意見を最優先にし、協議の際には何の条件なく専属契約を終了する考えだ」と伝えていた。

◇キム・ホジュン プロフィール

1991年10月2日生まれ。2013年3月にデジタルシングル『私の人よ』(原題)でデビュー。2020年のオーディション番組『明日はミスター・トロット』に出演して4位(優勝者はイム・ヨンウン)となり、人気を獲得。その後、『リクエスト曲を歌います、愛のコールセンター』などでも抜群の歌唱力を証明した。

© 株式会社ピッチコミュニケーションズ