ハイセンスが液晶テレビの2024年モデル3シリーズを発売、全シリーズ量子ドット採用で新エンジンも搭載!

ハイセンスは液晶テレビの新製品U7NシリーズとU8Nシリーズ(以下、シリーズを略)を5月17日に発売した。次世代のゲーミングテレビがコンセプトのU7Nは43V型~65V型までの4機種で、コンセプトがMini LEDのベストバイとうたうU8Nは55V型~85V型の4機種。さらに6月6日にはプレミアムシアターと位置づけたU9Nの発売も予定している。

ハイセンスの新製品U8N(左)、U9N(中)、U7N(右)

テレビ市場低迷の中でハイセンスは販売シェアがアップ

テレビ市場は販売低迷状況が長く続いている。BCNランキングで23年の販売台数は前年比約91%、販売金額は同約93%だった。24年1~4月の4カ月間の販売台数は前年同期比約97%で、販売金額は同じく約99%。まだ前年割れが続いている状態だが、以前と比べて減少幅は徐々に縮小している。

ここ数年で販売シェアを拡大してきたハイセンスだが、23年は第3四半期まで市場平均よりも厳しい販売状況だった。だが、第3四半期以降は市場平均を上回る実績となり、現在もこの状態を継続している。市場平均を上回る高い伸長もさることながら、自社の前年実績も大幅に超えて推移し、販売シェアもアップしているという。

この好調の要因について同社では、新製品の発売に合わせたキャッシュバックキャンペーンや横浜流星さんのTVCMなどのマーケティング活動が奏功したと分析する。

ハイセンスは今年から新アンバサダーに横浜流星さんを起用

さらに23年5月に発売したMini LEDと量子ドット搭載のU8Kも販売に貢献した。Mini LED搭載タイプは高価格帯が多いが、同社では高画質機能や便利機能などを充実させながらもリーズナブルな価格設定を打ち出した。同社の製品に共通するコスパの高さでU8Kは購入意向者の支持を集め、シェアアップにもつながっていると同社ではみている。

市場の変化に対応した新ラインアップでさらなるシェアアップを狙う

ハイセンスによると、近年のテレビ市場にはいくつかの変化がみられるという。55V型以上の販売台数・金額シェアの増加と22年を境とした有機ELテレビの販売台数・金額シェアダウン。そしてMini LEDの急伸長である。

このようなテレビ市場での変化に対応するとともに、テレビ市場でハイセンスのプレゼンスをより高めることを目的として開発されたのが新製品のU7N、U8N、U9Nだ。U7NはU7Hの後継モデルで、同様にU8Nは前述のU8K、U9Nは2年前のU9Hの後継モデルだ。

また、これまで4KスマートテレビのフラグシップはUXだったが、UXの販売は5月で終了となるため、6月6日発売のU9NがUXに代わってフラグシップとなる。

改めて24年のテレビのラインアップを見ると、昨年よりも各シリーズのポジショニングが分かりやすくなっていることが分かる。シリーズは5つで、主力となる今回の新製品3シリーズは頭文字のUが共通となり、次に続く数字が大きいほど上位である。

この3シリーズの下には4KスマートテレビのエントリーモデルであるA6K、2KスマートテレビのA4Nと頭文字Aの2シリーズが続き、これもAの次の数字でポジションが分かる。実際にシリーズを上位から表記すると、U9N、U8N、U7N、A6K、A4Nと一目瞭然だ。

24年のラインアップは、各シリーズのポジショニングが分かりやすい

4Kの最上位とハイエンドはMini LED+量子ドットモデルで、4Kミドルゾーンは直下型LEDバックライトと量子ドットモデル。4Kエントリーは直下型LEDバックライト、ボトムは直下型LEDバックライトの2Kモデルと整理されており、急伸長しているMini LED+量子ドットのゾーンでさらなるシェアアップを図る考えであることが推測できる。

新開発エンジンと高画質・便利機能を新製品全機種に採用

新製品3シリーズに共通で搭載したのが、TVS REGZAと共同開発した高画質エンジンのHI-VIEWエンジンⅡ。前シリーズで搭載していたHI-VIEWエンジンでもAIによる画質調整機能があったが、新エンジンではAIによる自動認識技術をさらにブラッシュアップ。放送波やネット動画、ゲームなどのコンテンツに合わせて最適な高画質に調整するという。

新しい高画質エンジンのHI-VIEWエンジンⅡは新製品3シリーズの全モデルに搭載

また、階調がグラデーションで表示されずに縞模様で表示されてしまうネット動画特有のバンディングノイズの制御や映像における手ぶれ補正効果のフレームジャダー低減、ゲームプレイ時の画面設定メニューを一覧表示するゲーミングメニューも全機種共通の機能として搭載している。

ゲーミングメニューは表示設定の確認やバックライト、暗部ガンマなどの調整が画面から簡単にできる

ネット動画視聴での共通機能は20社の動画配信サービスに対応し、リモコンには12個のダイレクトボタンを搭載。電源オフでもダイレクトボタンを押すと、テレビが起動して選んだ動画配信サービスの画面が立ち上がる。

OSはハイセンス独自のVIDAAで、発話による操作も可能だ

U9Nは輝度が従来比1.87倍、発光エリア制御は約4倍にアップ

では、各シリーズの特徴を紹介しよう。製品コンセプトがプレミアムシアターのU9Nは、75V型の75U9Nと65V型の65U9Nの2機種。発売は6月6日からで、市場想定価格は75U9Nが40万円前後で、65U9Nが30万円前後だ。

U9Nのコンセプトは高画質と高音質によるプレミアムシアター

U9NはMini LEDバックライトを採用し、構造の最適化により前モデルのU9Hと比べてピーク輝度が約187%アップ。つまり、明るさが最大で前モデルの1.87倍になり、そのピーク輝度は2800nitという。

Mini LEDのエリアごとの分割制御であるローカルディミングはU9HのローカルディミングProからローカルディミング アドバンストへと進化。エリア制御の分割数はU9Hの約4倍と細かくなり、細分化された分、明るい部分と暗い部分がよりリアルに表現されている。

高画質を実現しても肝心の液晶パネルが光の反射の影響を受けたり、映り込みが多かったりすることもある。U9NではU9Hと比べて画面の反射率が50%というARコート低反射素材を採用し、映り込みも低減した。

さらに光の漏れを抑えるフィルムを使用したSTW補正処理により、斜めから画面を見たときの光の漏れを90%以上抑制。ハイコントラストで高画質な広視野角パネルProとの組み合わせで、どこから見てもクッキリと色鮮やかな映像を楽しむことができる。

光の制御と映り込みの抑制により高コントラストでメリハリの効いた映像を映し出す

ネット動画視聴ニーズとともに近年増加しているゲーミングニーズにも対応。通常の倍速である120Hzのリフレッシュレートよりもさらに高い144Hzで、なめらかな映像を再生する。約0.83msの低遅延を実現するゲームモードProも継続搭載し、コマ落ちやちらつきを抑制したVRR(可変リフレッシュレート)や自動で低遅延モードと高画質モードを切り替えるALLM(Auto Low Latency Mode)にも対応している。

音質面では左右のメインスピーカーと背面のサブウーファー、上部に2つのイネーブルドスピーカーを配置。7つのスピーカーで2.1.2チャンネルのシステムを組むことにより、左右に加えて天井からも音が振ってくるような立体音響を実用最大出力60Wで再現。室内にいながらシアターのような音像を体験できる。

7つのスピーカーで立体音響のDolby Atmosにも対応

その他の機能としては、スタンドの高さが2段階に調節可能。より臨場感と迫力を求めてサウンドバーなどを前面に置く場合、スタンドを高くできるので便利だ。

55V型から85V型まで4つのサイズが選べるMini LED+量子ドットのU8N

5月17日に発売されたU8NはMini LEDのエントリーモデルで、リビングに最適なバランスの取れた製品だ。ラインアップは85V型の85U8Nと75V型の75U8N、65V型の65U8N、55V型の55U8Nの4機種である。

U8Nの85V型は24年のラインアップで最大の画面サイズ

U8Nは上位のU9Nと同様にMini LEDと量子ドットを搭載したモデルだ。U9Nと同じくLEDバックライトの構造を見直して最適化を図り、前モデルのU8K比でピーク輝度は150%アップ。発光エリア制御のローカルディミングについてはU8KのローカルディミングProを継続搭載している。

また、液晶パネルの表面には低反射素材を採用し、U7Hと比較して映り込みを50%低減。スピーカーはメインとサブウーファーの3スピーカーによる2.1チャンネル。40Wの実用最大出力と重低音で臨場感を再現する。

ゲーミングニーズに対しては、U9Nと同様に144Hzの高いリフレッシュレートで滑らかな映像を再生する。ただし、55V型の55U8Nのみは通常の倍速レートである120Hz対応となっている。

Mini LEDと量子ドットの組み合わせでU8NはMini LEDのベストバイと訴求

上位のU9Nとは同じ画面サイズで10万円前後の価格差がある。キレイな映像を観たいのは当然だが、細かいこだわりや自身で設定を変更したことがないという人には、高精細でリアリティのある映像を再生するU8Nでも十分、期待に応えるはずだ。

U7Nは高リフレッシュレートパネルで純度の高い色を再現

U7NはスタンダードのLEDに量子ドットを組み合わせたモデルで、ラインアップは65V型の65U7Nと55V型の55U7N、50V型の50U7N、43V型の43U7Nの4機種だ。

多彩な色を再現する量子ドットと高リフレッシュレートで次世代のゲーミングテレビとうたうU7N

U9NとU8NではMini LEDと量子ドットを組み合わせているが、U7Nは通常のLEDに量子ドットを採用している。そもそも量子ドットは青色バックライトから出る光が量子ドットシートを通過することで、純度が高く混じり気のない色に変換される。

そのため、量子ドットを用いていない場合と比べて、より色域が広い色を映し出すことができる。従ってバックライトにMini LEDではない通常のLEDを採用していても、画面に映し出される色域は広くなり、さらに青色LEDからRGBに変える変換効率も良くなるというメリットがあるのだ。

量子ドットによって特にR(赤)とG(緑)の色表現が大きく改善できる

上位モデルと同じくU7Nでも144Hzの高リフレッシュレートパネルを採用しており、ゲームプレイ時は滑らかな映像を再生。低遅延のゲームモードProや前述のVRR、ALLMにも対応している。

U7Nはゲームプレイに特化した製品というわけではない。しかし、高いリフレッシュレートや低遅延性、接続するデバイスとの同期性に加え、一般的なゲーミングモニターよりも大画面で没入感のあるプレイを楽しむことができる。しかも解像度は4Kで、コスパの高い売価設定となっている。

テレビ放送やネット動画を高精細で楽しむと同時にゲームも存分に楽しめるという意味で、次世代のゲーミングテレビと命名したのだろう。

ハイセンスでは6月発売予定のU9Nも含めて、購入前の抽選で当たるキャッシュバックキャンペーンを5月17日から実施している。詳細は同社のホームページで確認しよう。

ハイセンスは5月17日からキャッシュバックキャンペーンを実施中

ハイセンスのテレビは、グローバルでの展開による圧倒的な調達力からコスパに注目がいきがちだ。だが一度、搭載機能やスペックを他社の同等クラスの製品と比べてみると、そのスペックや基本性能の高さに気がつくだろう。

ニーズや予算に合わせて迷わずにチョイスできるハイセンスの新製品の仕上がりを家電量販店の店頭で確認してみよう。

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