横須賀市  災害対策に経験どう生かす 市職員のべ199人が活動 横須賀市

重機を使って活動にあたる市消防局職員ら(市提供)

能登半島地震の被災地へ派遣され、支援を行った横須賀市職員による活動報告会が5月21日、市役所本庁で行われた=写真右下。

今年1月から4月上旬にかけて、のべ199人の市職員が石川・富山の両県で活動。職種ごとに業務内容、災害への対応状況、最前線での経験から見えた気づきや課題を報告し、庁内の情報共有や体制強化に活かす。

発災後、最初に派遣されたのは緊急消防援助隊。神奈川大隊の一員として、高度救助隊、土砂災害機動部隊、後方支援隊が1月9日に出動。山間部を約1時間歩いて石川県輪島市の大規模土砂崩れ現場に入り、大量の土砂や倒木、がれき、雪に阻まれながら安否不明者を捜索した。

危機管理課、資産税課・市民税課・納税課の職員は、1週間交代で2カ月以上にわたって同県志賀町で活動。おもに支援物資の受入調整、避難所の運営支援、罹災証明書発行や住家被害認定調査業務に従事した。

被災者と接し、生活再建の足がかりとなる場所での支援。先行きの不安、慣れない集団生活による疲弊といった避難住民の声を耳にした職員は、心身の健康サポートや対策本部(行政)・派遣職員・地域の密な情報共有の必要性を訴えた。

上下水道局では、水道技術者を派遣。漏水調査や市内水道工事事業者の協力を受けて水道管修理にあたったほか、給水車で水を運搬するなど、1日も早い断水解消に向けて活動した。

それ以外にも、避難所や在宅要支援者の健康管理を支援する保健師、擁壁などの安全性を確認する被災宅地危険度判定士、建物の公費解体に関わる受付業務で廃棄物対策課職員が尽力した。

危機管理課は、「幸い横須賀は大きな災害が発生していないが、裏を返せば災害対応を経験した職員が少ないということでもある。同じ半島地域での活動を今後の災害対策の見直しなどに役立てたい」と話している。

なお、4月5日の期間終了をもって職員派遣による応援は一旦終了。今後も要請や状況に応じて支援していくという。

「ふるさと納税」代理受入

被災自治体に代わって他の地方自治体が「ふるさと納税」の寄付受付を行う代行業務がある。横須賀市も1月末から3月末まで、石川県七尾市・珠洲市・能登町の代理自治体として事務作業を請け負った。

ふるさと納税を通じて被災自治体に災害支援の寄付が可能だが、被災地の行政職員は住民の安否確認や生活支援、インフラの応急復旧といった現場対応で混乱の最中。納税証明書の発行などに手が回らないことから、負担軽減を目的とした助け合いが行われている。

市はふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス災害支援」の専用ページと納付書払いで受付。災害支援のため返礼品はないが、寄付者は控除が受けられる。市を介して集まった1651万1400円(723件)は、先ごろ2市1町へ届けられ、復旧復興事業に充当される。

© 株式会社タウンニュース社