![](https://nordot-res.cloudinary.com/c_limit,w_800,f_auto,q_auto:eco/ch/images/1168145104800006427/origin_1.jpg)
「4失点はチームとしても見直さなければいけない」
試合後のミックスゾーン。テレビ局のカメラがズラリと並ぶ中で、チームとしての敗戦の受け止めを語るのは松井蓮之だ。5月26日、ベガルタ仙台はホーム・ユアテックスタジアムでファジアーノ岡山に1-4で敗戦。1万人以上が駆け付けた中で、手痛い黒星を喫した。
先制するいい流れだったものの、失点を4度重ねて敗れたことについてまずは冒頭のように話すと、「(岡山のFW)ルカオ選手にみんな集中しすぎた部分もありますけどそこはコーチングで解決できますし、あと、僕たちの戻る場所は改善していかなければいけない」と次の試合へ向けての解決のイメージも具体的に説明した。
松井が川崎フロンターレから期限付き移籍したのが今年3月のこと。以来、これが12試合目の出場となる。そして岡山戦は6試合連続での先発出場で、この試合は仙台が苦しい状況に立ったもののフル出場を託された。
テレビ対応で発せられた質問は6問。敗戦の受け止めやルカオへの対応、4連勝していた中での切り替えなど、チームとしてこの試合をどう捉え、そして、次にどうつなげるかについてだ。その質問一つ一つに、松井への期待が込められていた。
■松井自身が実感する成長
試合に出続けること、そして、視線を一身に浴びることは、確実に成長につながっている。テレビ対応後の松井に、実感している”変化”について率直に聞くと次のように話す。
「試合をコントロールするところやボールをもらう回数は増えてきていますし、あとは自分のストロングであるボールを奪い切るなどの球際の強さは、試合をするにつれてだんだん自分の感覚が戻ってきたかなという印象はあります」
戻りつつあるという、自分の感覚。それは、試合に出ているからこそ、感じるものだ。トレーニングマッチでの出場や、他のポジションでの出場とは違って、「ここに来てボランチで使ってもらっていますし、試合にも多く出させてもらっている」からこそだという。
だからこそ、次に到達すべき成長点も見据えている。その一つが前半終了間際に見せた前に飛び出してのシュート場面で、「僕自身もっともっとああいうシーンを増やしていきたいと思います」と話す。そして、「チームとしてバランスをあまり崩したくないので、そこを見ながらというのが一番難しいんですけど、タイミングを図りながら、どんどんああいうプレーを出したい」と意気込む。
もう一つが、得点をもたらすようなパスだ。バイタルエリアでボールを持ったときのラストパスは「まだまだ少ない」と説明したうえで、「個人の問題であるのと同時に、味方にこうして欲しいって伝えるのも僕の仕事だと思うので、そこはもっともっと伝えていきたい」とさらなる飛躍を目指す。
■森山佳郎監督の指導
松井が今 指導を受けている森山佳郎監督はアンダー世代の日本代表を長年率いるなど、若手の育成に定評がある。2023FIFAU―17ワールドカップではベスト16に終わったものの、そのチームは多くの人に感動を与えた。
その森山監督の下で、松井も成長を実感する。「ゴリさんは本当にシンプルなことをおっしゃってくれますし、守備でも攻撃でも本当に突き詰めてくれる。厳しいことも細かいところも言ってくれる中で、自分の根本的なところを見直せる」と説明するのだ。
「経験も大事ですけど、やっぱり負けはできるだけ経験したくない」
こうも話して、杜の都に歓喜をもたらそうとする松井。J1昇格を目指す黄金のチームをけん引する覚悟は、さらに強まっている。
(取材・文/中地拓也)
(後編へ続く)