【J2仙台で修行を積む、J1川崎の若武者2人の現在地(2)】名願斗哉が「得点に繋げることができなかったっていう事実を受け止めなければいけない」と話す強い気持ち。勝利と得点を求め

ベガルタ仙台の名願斗哉 撮影:中地拓也

3失点目を喫した1分後の場面だ。森山佳郎監督が逆転を目指してピッチに送り込んだのは、背番号24。名願斗哉だ。

現在19歳のアタッカーは左サイドに入ると、ボールを受けた瞬間から攻撃的な姿勢を見せる。縦に行くか、あるいは中に入って相手の動きを見るか。そのたびに、ユアテックスタジアムの期待が膨らむのが分かった。

5月26日にJ2の上位対決としてベガルタ仙台が挑んだファジアーノ岡山戦。結局、チームは1-4で敗れたものの、若きアタッカーは逆転への希望を背負ってプレーしてみせた。

「今日の試合にもそうですけど、得点が欲しいときに(自分はピッチに)入るので、そこで得点に繋げることができなかったっていう事実を受け止めなければいけない。そこはもう練習から本当にやるしかないなと思います」

敗戦後に口にした言葉は、チームに勝利をもたらしたいとする責任感に満ちあふれていた。

「試合に出られない選手もたくさんいる中で自分が出させてもらっていますので、責任を持って仕事をやりたい」

強い気持ちの根源は、試合に出るありがたさと、そして、チームメイトへの思いが大きい。

■「自分じゃなきゃいけないプレーを常に出せるように」

名願斗哉のピッチ上の武器はドリブルだ。プロ1年目となる2023年シーズンは、川崎フロンターレでのプレシーズンには沖縄キャンプでJクラブ相手に猛威を振るったものの、それを公式戦の舞台で見せる機会は少なかった。

しかし、今はそこから脱皮しつつある。この試合でも積極的な姿勢を見せたように、「自分じゃなきゃいけないプレーを常に出せるようにやっぱり頭に置いてるんで、そこは本当に自信を持ってやれてる」と力強く話す。

そして、試合にどういう状況で入るのかも考えている。
「チームの勢いや試合の流れ、どういうスコアなのかなど、そういう中で交代で入る選手はすごく重要な役割だと思う」

こう説明するからこそ、「もっと自分に何かできることがあったんじゃないか」と岡山戦でのプレーも即座に振り返って、次に生かそうとしている。

名願斗哉は仙台で今季出場した試合数をこれで「8」とした。時間はトータル140分と、けっして長くはない。それでも、まずは切り札として存在感を増している。

「ゴリさんが求めてる守備の強度や、前線の選手の守備の貢献度がすごい高い中で、自分はまだまだ足りてなかったことで試合に出れてなかったんですけど、少しずつですけどそれが改善されたことで、徐々に認められていると思います」

■求める得点とアシスト

名願斗哉は、自身の成長と出場機会が相関関係にあると感じている。だからこそ、次に求めるのは得点とアシストだ。ここまで、チームに勝利をもたらすPK獲得場面はあったものの、自らの得点はまだない。そんな中で、ポジションのライバルである相良竜之介は、すでに5ゴールを記録している。

「リュウくんは点を取っている。そこで負ければ当然スタメンでは出れないと感じますので、強度と点数、アシストを求めたい」

切り札から先発を争うような存在へと成長すれば、当然、仙台にとって新たな強みとなる。背番号24が活躍する姿に、期待は膨らむ。

(取材・文/中地拓也)

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