ブループリント S アイアンを西川みさとが試打「練習に熱心な人向きアイアン」

新展開の“青写真”アイアン HS40m/s未満の女子プロ評価は!?

青写真(BLUEPRINT)を具現化したモデルとして、2019年にピンから初登場した軟鉄鍛造マッスルバックアイアン「ブループリント」。ことし発売された2代目は、操作性と寛容性を兼ね備えた“SCORE”=「S」と、操作性と打感にこだわる上級者向け“TOUR”=「T」の2モデル体制で展開された。新たな舵を切った人気ブランドを、ヘッドスピード(以下HS)の異なる有識者3人が採点。まずはセミキャビティ「ブループリント S アイアン」を、1WがHS40m/s未満の女子プロ・西川みさとが試打評価を行った。

「さすがのプロ仕様打感 ただし『S』でも対象は限られる」

「難しい…」と言いつつ ほぼ同じ弾道でまとまっていた

―率直な印象は?
「フェースにボールが吸いつく打感が素晴らしく、やわらかさが残る感触はとても気持ちいいです。繊細なボールコントロールを可能にする、ツアープロも納得のフィ-リングだと思います。ただ、見た目のサイズ感は、アベレージゴルファーはほとんど手が出せないほどの“THE・競技ゴルファー向け”と呼べるレベル。私のようなヘッドサイズの大きさで安心感を抱くタイプからすると、構えたときのプレッシャーは大きく、ショット前に感じる負担は小さくない気がします」

スコア(SCORE)向上を目指すゴルファー向け「S」

―THE・競技ゴルファー向け…?
「はい。形状はクセがなく、洗練されたデザインで、すごくきれいな顔立ちをしています。ヘッドの入れ方や操作性の高さは、すごくイメージできます。その半面、ヘッドの大きさは競技や試合に出られるレベル限定で、プレーヤーのスキルは求められるでしょう。小ぶりなほうが集中できる、抜けの良さを重視している人には、最適なアイアンといえます」

見た目にこだわるプレーヤーも納得のシャープな形状

―兄弟モデル「―T」と比べると?
「『―T』は『―S』よりひと回り小さく、今まで試打したモデルの中で最小と呼べるほどです。マッスルバックの中でも小さいほうだと思います。今作では同シリーズで2種類出ているということは、小ぶりなヘッドの中でもそれぞれニーズがあるということなので、細分化して選べることに意味があるように感じました。安心感という方向ではなく、打感の気持ちよさ、操作性でアイアンを選ぶ人の中で、2機種から選べるラインアップの豊富さは魅力。所有感を刺激する意味でも、『―S』と『―T』で選べる意義は大きいです。『―S』も格好いいですが、『―T』はキャディバッグに入れていたらより格好よく見えます」

左がS、右がT。どちらもロフト角は7Iで33度

―弾道の高さは理想的?
「7番でロフト角33度の設定は、立った設定が多い最近のクラブの中で非常にノーマルに感じられる角度です。その分、飛距離は落ちますが、ちゃんとボールは上がってくれる。飛び系が登場する前からゴルフをやっている歴の長い人からすれば、番手通りに高さが出るので安心感につながります。クラブ選択もイメージ通りでスムーズに構成できるのではないでしょうか。逆に最近ゴルフを始めた人からすると、寝ているロフトから飛び出す弾道が新鮮に映るかもしれません

最適なスピン量を実現する「マイクロマックス・グルーヴ」採用

―他の「i」シリーズと比べると?
「i530」と比べると?
「同社のモデルは、以前から操作性と寛容性を兼ね備えている点で、『i210 アイアン』も『i525 アイアン』も常に使用を検討してきました。ただ、他社と比べてややバウンスの効きが強めの傾向に気付き、ロフトを立ててインパクトを迎える人には適しているけれど、自分のようなレベル(平ら)に入ってくる人には芝に突っかかる特徴が気になり、断念した過去があります。それに比べると今作は引っかかる感じが軽減されていて、振り抜きやすさを感じます。私でも打ちやすいは打ちやすいけれど…といった感想を持てたほどです(あとはサイズの問題)」

「練習場ではうまく打てたが 芝上ではトップしか出ない気がする…」(西川)

―どのような人向き?
「『―T』に比べると寛容性はあるのですが、やはりハードヒッターの上級者向けだと思います。ロフト角が寝ていることがマイナスに働かないほど飛距離も十分に出せて、スコアもまとめられる競技ゴルファー。普段から練習をみっちりしている人に向いているモデルかなと思います。そうでないと多分扱い切れない…。プロ限定とまでは言いませんが、月イチのエンジョイゴルファーは『―S』でも手を出さないほうが無難ではないでしょうか」

対象はやはり40m/s以上か? 3.5△3項目と辛評【総合評価3.8点】

【飛距離】3.5
【打 感】4.5
【寛容性】3.5
【操作性】4.0
【構えやすさ】3.5

・ロフト角:33度(7I)
・使用シャフト:NSプロ モーダス3 ツアー105(硬さS)
・使用ボール:リトルグリーンヴァレー船橋専用レンジボール

取材協力/トラックマンジャパン株式会社、リトルグリーンヴァレー船橋

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