医師監修。夏に多発、汗によるかゆみが睡眠に影響。対策は?

By FYTTE 編集部

肌がかゆくて眠れない〜というお悩みは秋冬の乾燥シーズンに多いかと思いますが、かゆみによる睡眠の妨げは、汗をかきやすいこれからの季節も要注意。最近は暑さによる寝苦しさのほか、汗によるかゆみで眠れない、と悩む人も多いのだそう。そこで、よしき銀座クリニックの吉木伸子院長に、汗によるかゆみが睡眠に影響する理由と対策法を教えていただきました。

汗による肌トラブル。汗あれやかゆみが起こる原因

近年、例年よりも暑い日が続き、汗あれやかゆみに悩む患者さんが増えているそうです。汗あれが原因で起こる肌トラブルには接触性皮ふ炎があり、重症化すると治るまでは時間がかかることもあるので早くから意識してほしいと、吉木伸子先生が教えてくれました。とくに汗の量が増える初夏から夏にかけては注意が必要です。
この記事では、汗によるかゆみが睡眠に影響する理由について、医師のコメントを交えて解説していきます。

「汗のトラブルというとあせもを想像しますが、あせもと汗あれは違います。あせもは汗をかきやすい人や子どもに多く、汗を出す管が詰まった状態になりブツブツが出る症状です。汗の成分が肌に刺激を与えることによって起こり、かゆみを伴うのは汗あれです。
この汗あれは、汗の成分が肌に刺激を与えることで起こります。乾燥や間違ったスキンケアによって皮ふのバリア機能が落ちているところに、汗をかくと、自分の汗が刺激になってかゆみ、痛み、赤みを生じます。
皮ふのバリア機能が低下しやすい部分は、えりもとや下着があたる場所など衣類がこすれる場所、汗をかきやすい場所(首、髪の生え際、ひじの内側、ひざの内側、お腹のベルト周り、背中、太もものうしろ)です。
初夏から夏にかけては、汗をかいたまま過ごしてしまうなど、汗が刺激となって汗あれやかゆみを起こしやすいので注意が必要です」(吉木先生、以下同略)
続いて、かゆみが起こる原因を解説していきます。

かゆみのメカニズム

汗をかくと、自分の汗が刺激になってかゆみを生じますが、かゆいからとかいてしまうことにも原因があるようです。
<かゆくなる主な要因5つ>
1.入浴などで体温が上昇して血流が上がる
2.布団や衣類でこすれて刺激になる
3.入浴時に肌のゴシゴシ洗いが刺激となる
4.汗の成分が刺激になる
5.皮脂欠乏と乾燥

「かゆいと感じてかくと、皮ふのバリア機能が低下し炎症が起きます。そうなると、皮ふが荒らされてさらにかゆくなるという悪循環=“かゆみサイクル”が起こり、どんどんかゆみが悪化します。また、かくだけでなく、衣類の摩擦による刺激で肌が荒れて、かゆみが起こることもあります」

かゆみが起きる要因には季節や時間帯も関係しているようです。
「秋冬の乾燥によるかゆみも注意が必要ですが、汗をかきやすい夏も皮ふのバリア機能が落ちやすく、汗あれやかゆみを生じやすくなります。
かゆみが起きやすい時間帯はさまざまですが、就寝時は、体温の上昇や布団、衣類などの摩擦で体のかゆみを感じやすくなります。かゆみが原因で何度も目が覚めて、翌朝に寝不足を感じることがあります」
とくに寝ているときのかゆみは、なかなか寝つけなかったり、目が覚めてしまったりと、睡眠の妨げにもなりますよね。予防や対策法はあるのでしょうか?

保湿とかゆみ止めで対策を!

「かゆみを止める方法は“かかないこと”。また、入浴時に熱めのお湯につからない、泡立てた石けんでやさしく洗う、室内の湿度を60%程度に保つ、綿の衣類や寝具を使うなど皮ふへの刺激を避けること。さらに、かゆみ止め剤を塗ることが有効な場合があります。
それでもかゆみがおさまらない場合、かゆみ止め剤をこまめに塗布して様子を見てください。保湿剤は、広く塗り伸ばしやすいジェルタイプのものやローション、クリームがおすすめです」
夏は暑くて保湿を怠りがちですが、入浴後はしっかり保湿ケアをして、肌の乾燥を防ぐことが大切ですね。ただし、セルフケアで症状がよくならない場合は、早めに皮ふ科に受診するなどして、かゆみによるストレスを手放し、快適な睡眠環境をとり戻しましょう。

画像提供/ユースキン製薬
監修者/よしき銀座クリニック 吉木伸子院長
美容皮膚科・一般皮膚科。レーザー・ケミカルピーリングなどの美容皮膚科学と東洋医学をとり入れた皮膚科治療を行う「表面だけでなく、体の中から健康に、若く美しくなる」ことを重視し、食などの生活改善へのアドバイスも積極的に取り組んでいる。
文/FYTTE編集部

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