「落ちてくるナイフはつかむな」vs「ドルコスト平均法」はどちらが正しい?…株式市場下落時の注意点とは

2018年に「つみたてNISA」が始まり、2024年には新NISAのつみたて投資枠で定着しつつある、つみたて投資。

つみたて投資で人気なのは「上がっても下がっても買い続けるつみたて投資」。

しかし、株式市場では「落ちてくるナイフはつかむな」という言葉や「難平(ナンピ)買いはするな」という格言もあったりします。

一体どちらが本当なのでしょうか。

今回は、これらを現状の株式市場の動きを見ながら、考えてみたいと思います。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

投資格言「落ちてくるナイフはつかむな」の意味とは

ベテランの投資家の間でよく言われる格言に「落ちてくるナイフはつかむな」があります。

継続的に株価が大きく下がった場合、つみたて投資をしていると、損失が拡大します。それを戒める格言です。

ナイフは刃がむき出しになっている状態でつかむのは危ないということはどなたも想像がつくと思います。

そのナイフが上から真っ逆さまに落ちてくるものを素手でつかむとどうなるでしょうか。

大けがをしかねないということがお分かりかと思います。

下げ相場では、安易に買い出動することなく「待つ」ということが大事だという教訓です。

「難平(ナンピン)」はつみたて投資の醍醐味ではないのか

「難平」をご存じの方はどれくらいるのでしょうか。

難平とは、損をした銘柄が下がり続けるのをさらに買いまして、買い付け価格(コスト)・簿価を下げることを言います。

手練れの投資家は、その難平買いをいさめます。

私が金融機関勤務時代に上司に言われた言葉が強く記憶に残っています。

「難平買いは、結局は傷口広げるだけやで。やめといたほうがええ」

この傷口を広げるというのはどういうことかということでしょうか。

下がり続ける銘柄を買い下がっていくことで、投資金額を増やしているわけですから、「買い付け価格(コスト)」は下がっているかもしれませんが、「損失の絶対額」は増えていることになります。

投資家からすれば、買い付け価格が下がって安心感もあるかもしれませんが、一方で損失額が増えているという状況を意識しておく方がよいでしょう。

「つみたて投資」は「ほったらかし投資」で大丈夫か?その見極めポイント

iDeCoにはじまり、つみたてNISAやそして新NISAのつみたて投資枠も浸透してきています。

その中で、「ドルコスト平均法」とともに、たとえば毎月決まった額を投資する手法がよく話題に出ます。

株式市場が下落しているときに、ドルコスト平均法は「落ちてくるナイフをつかむな」「難平買いはするな」には該当しないのでしょうか。

ドルコスト平均法は気を付けておくべき点があります。買い付ける資産の価格が下がり続ける場合には、先ほどふれた「難平買い」に該当します。

また、買い付ける資産の価格が上がったり下がったりしてレンジ内で推移する場合には、ドルコスト平均法に期待される十分に効果が得られません。

ドルコスト平均法が機能するのは、短期的には上がったり下がったりを繰り返しながらも、長期間にわたって右肩上がりで上昇する資産に対して有効だということが重要です。

つみたて投資をされている場合には、投資対象の資産が右肩上がりで上昇するのかどうかの確認をするのがよさそうです。

© 株式会社ナビゲータープラットフォーム