開幕目前のインハイ埼玉予選を展望! 優勝候補筆頭の昌平を倒す“刺客”はどこだ!? 1枠を争う戦国トーナメントの行方を探る

全国高校総体(インターハイ)サッカーの埼玉県予選は6月1日、46校が参加して開幕する。決勝は6月16日にNACK5スタジアムで行なわれ、優勝校が本大会(7月27日~8月3日・福島県)の出場権を獲得。埼玉の代表枠は2019年度から1校に削減されたため、決勝まで目の離せない好試合が展開されそうだ。

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ここ数年続く埼玉の傾向は今年も変わらず、優勝争いの中枢にいる昌平が“刺客”をなぎ倒して頂点に立つのか。それとも複数の群雄が打倒昌平を果たすのか-。最大の焦点はこれに尽きる。

昌平は2月の新人大会にはセカンドチームで臨み、関東高校大会予選はプレミアリーグEASTを戦うため不参加。新チーム結成以来、今大会が県内公式戦への初参陣となる。

昌平は昨年度の全国高校選手権で大活躍したMF長璃喜(2年)ら、ベスト8の経験者がGKを含めて全ポジションに7人健在という充実した陣容だ。長は現在暫定3位のプレミアリーグで首位タイの5得点。怪我で選手権を辞退したMF三浦悠代(3年)は同リーグで4点を挙げ、3得点のMF山口豪太(2年)も本来の鋭い切れ味を取り戻した。昨年も優勝候補筆頭だったが準決勝で浦和南にPK戦負けし、一発勝負の難しさと悔しさを味わっただけに、雪辱に懸ける思いは強い。

新人大会を制したプリンスリーグ関東2部の西武台は竹内奏海、鈴木洸晴(ともに3年)のFW陣に得点力があり、守りはU-17日本高校選抜のCB谷口輝(3年)を軸に安定。戦力の上積みも大きく、浦和南と並ぶ9度目制覇の可能性を秘める。

関東高校大会予選を制し、3年ぶりの優勝を目ざす正智深谷も有力。傑出した選手も爆発的な得点力もないが、経験豊富な𠮷田匠吾と白岩龍(ともに3年)の両MFが攻撃陣をリードする。CB佐藤飛友(3年)がまとめる守備は今季も堅い。同予選準優勝の成徳深谷はGK緑川徠雅、DF増田蹴人(ともに3年)の昨年からの主力が堅陣を支え、ボランチ稲積俊音(3年)は攻守の中継所として稼働。関東高校大会で2勝したのは大きな自信になったはずだ。

関東高校大会予選4強の聖望学園も強い。昨秋の全国高校選手権予選ベスト4のレギュラーが5人残ったうえ、太仲貴哉と増本怜音(ともに3年)の両FWがたくましくなり、2年続けて上位進出を目ざす。新人大会で西武台と優勝を分け合い2連覇を狙う武南は、3冠に輝いた昨季ほどの力はない。FW大熊來瑠やMF畑乙樹(ともに3年)の実力者が、攻撃陣をしっかり引っ張りたいところだ。

関東高校大会予選ベスト4の立教新座は全体的に個の能力が高く、MF粟屋大智(3年)の技術とシュート力は申し分ない。新人大会4強で昨年準優勝の浦和南はFW掛谷羽空、MF日髙大佑(ともに3年)が攻撃の中心。肝心な1戦に底力を発揮するだけに昨季の再現もあり得る。

今季県リーグ1部に復帰した細田学園は、個が連動して関東高校大会予選で8強入り。2部リーグに降格したものの、埼玉栄も同予選でベスト8に進む実力を蓄えている。県リーグ1部の市立浦和、2部で好調の狭山ヶ丘はともに昨秋の全国高校選手権予選8強で、今年も複数の好選手を揃える。1部の武蔵越生、2部で上位にいる浦和学院、埼玉平成といった実力校の戦いぶりにも注目したい。

文●河野 正

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