【コラム・天風録】ドラフラ優勝

 勝利を呼び込むとされる「勝ち虫」トンボのクラブ名にぴったりの快挙だ。バスケットボール男子Bリーグの広島ドラゴンフライズが、初のシーズン王者にあれよあれよと上り詰めた▲今季は西地区3位で、勝率で浮上してチャンピオンシップへの出場権を得た存在だった。ところが中、西両地区の1位を次々に撃破。連覇を狙う琉球との決勝は、初戦を落としながら2戦目は11点差をはね返した。その勢いに乗って3戦目も制した▲クラブ名は廿日市市の宮島だけに生息するミヤジマトンボが由来で、チームカラーは厳島神社の大鳥居の朱色。地方豪族に過ぎなかった毛利元就が戦国武将大内氏の重臣陶晴賢(すえはるかた)を打ち破った島ゆかりとは。まさに「下克上」を成し遂げたにふさわしい▲エディオンピースウイング広島で昨夜、パブリックビューイングがあった。広島からの声援も後押しした優勝はバスケファンを増やす契機になろう。クラブが目指す、新アリーナという「夢の器」の実現も近づくはず▲広島東洋カープとサンフレッチェ広島という先輩プロチームがある地に、ドラフラも新たな歴史を刻んだことは喜ばしい。下馬評を覆した選手の奮闘に心から拍手を送りたい。

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