「こんな終わり方はない!」“現役最後の試合”がBリーグ初優勝! 広島の42歳・朝山正悟が感無量スピーチ「言うことない。本当に夢のよう」

広島のレジェンドが、最高の形で花道を飾った。

プロバスケットボールBリーグの年間王者を決める「日本生命B.LEAGUE FINALS 2023-24」の第3戦が横浜アリーナで行なわれ、広島ドラゴンフライズが琉球ゴールデンキングスを65-50で撃破。クラブ創設10年目で初の年間チャンピオンに輝いた。

両チーム1勝1敗のタイで迎えた運命の最終戦。第1戦を62-74で落とした広島は、負けたら終わりの第2戦でスタメン2人を変更して反撃。崖っぷちから逆王手をかけたオレンジ軍団が、勢いそのまま昨季王者をねじ伏せた。

第1クォーター(Q)は河田チリジが、ド迫力なダンクを炸裂。さらに、ポイントガードの中村拓人が外から華麗に3ポイントを射抜き、鋭いドライブインなどで琉球を翻弄。17-12で悲願の初優勝を目指す広島がリードした。

第2Qは両チームとも、質の高い3ポイントを応酬。琉球は岸本隆一、広島はケリー・ブラックシアー・ジュニアなどがリングに沈め、コートをフルに活かしたアグレッシブなプレーが連続。お互い一進一退の攻防で進み、前半は広島が6点リードの僅差で折り返した。

広島は第3、4Qも気迫のディフェンスで琉球の反撃を抑えながら、山崎稜の3ポイントなどで効果的に加点。着実に得点を積み重ねていき、相手に一度も追いつかせず、そのまま押し切り歓喜のブザー。西地区3位のワイルドカードから各地区王者を打ち倒し、一気に頂点まで駆け上がる最大の下剋上を完遂させた。
ベンチには長くドラゴンフライズを牽引し、Bリーグ創設以前から広島でプレーする42歳の朝山正悟が大声で仲間を鼓舞。頼もしい後輩たちが今シーズン限りで現役引退を表明している大ベテランへ、最高のフィナーレを用意した。

試合後のインタビューで朝山は、「もう何も言うことないですね。本当に夢のようです」と感無量。「この舞台、この景色を見させて頂いたカイル(ミリング)コーチ、コーチングスタッフ、フロントスタッフ、最高のチームメイト、最高のライバルチームと戦えたこの瞬間。本当に最高でした」と、満員の横浜アリーナに頭を下げて感謝を示した。

Bリーグ参入当初は2部リーグからスタート。クラブの加速的な成長を問われると、「今日来てくださっている(観客の)中にもB2時代、(クラブが)立ち上がった当初の苦しい時期を支えてくださった方もたくさんいると思います。携わったすべての人たちの想い、いろんなものがつながって今日この場があると思います。本当に感謝しかありません」とブースターを含め、クラブ設立に尽力した関係者へ想いの丈を述べた。

最後は満面な笑顔で、「広島は本当に最高のチームです。僕自身もこんな終わり方はないと思っています。最後の最後までバスケットができたことを嬉しく思っています。皆さんの声援が本当に最高の力になりました。ありがとうございましたー!!」と手を振りながら、慣れ親しんだコートに別れを告げた。

構成●THE DIGEST編集部

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