映像の力で命を救う現場と消防署のホットライン「ライブ通報119」導入進む【わたしの防災】

火事や救急など、緊急時の119番通報で、スマートフォンのカメラを使った「映像通報システム」の導入が静岡県内で進んでいます。映像の力で、より確実に命を救おうという取り組みです。

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<清水英之記者>
「人が倒れてる。大丈夫ですか?消防に電話しよう」

<志太消防本部指令員>
「119番消防署です。火事ですか?救急ですか?」

<清水英之記者>
「救急です。散歩をしていたら人が倒れていて、困っています」

<志太消防本部指令員>
「意識・呼吸を確認できないので胸骨圧迫をしていきます。ライブ通報119で、現場と指令室を映像で繋ぎます。現場の映像を確認しながら、こちらでアドバイスしていきます。そちらの映像確認できました」

志太消防本部の消防指令センターです。現場の映像が、大型モニターに映し出されます。

これは、志太消防本部が運用する「ライブ通報119」。現場と消防署を映像で繋ぐ、通報システムです。

指令員が「映像が必要だ」と判断した場合、スマートフォンにメッセージを送ります。

通報をした人や周りの人などが、送られてきたURLにアクセスすることで、すぐに映像を共有することができます。

<志太消防本部指令員>
「肘が曲がっていて、有効な胸骨圧迫ができていません。肘をまっすぐ伸ばしてお願いします」

<志太消防本部情報指令課 小田博一さん>
「映像を通じて心臓マッサージのやり方などをアドバイスすることで、患者の命が助かる可能性が高まる。口で説明するだけでは、状況が伝わらないことがある。映像で伝えることで、得ることがたくさんある」

映像による通報は、「現場の特定」にも力を発揮します。

<志太消防本部指令員>
「場所の特定のため、辺りの景色を映してもらえますか?そちらは石津西公園・防災備蓄倉庫になりますので、北側駐車場の近くに救急隊を向かわせます」

広い公園で、急病人が発生したことを想定したケース。ライブ通報の映像から、現場は防災倉庫の近くであることを確認しました。

<志太消防本部情報指令課 小田博一さん>
「119番のとき、住所をまず聞く。自宅だと住所を言えますが、外にいると住所を言えないということが多々あります。映像で周りの景色・建物を写すことで情報指令課で場所を特定して活動隊に伝えて、速やかな活動につなげることができる」

火災現場でも安全を確保したうえで、映像による通報をすれば、活動の助けになります。建物の構造や風向き、延焼の恐れなど、映像から分かった情報を指令員が出動隊に無線で伝えます。志太消防本部は、使い方を紹介する動画を作成するなど、「ライブ通報119」の普及に力を入れています。

<志太消防本部情報指令課 小田博一さん>
「百聞は一見にしかず。口頭では説明しにくい状況でも非常に有効な手段。救急や災害など、様々な場面で使っていただきたいと思っています」

静岡県内では、志太消防本部のほか、浜松市消防局や3市2町を管轄する静岡市消防局も導入していて、4月、東部地区でも「富士市・富士宮市消防指令センター」で運用が始まりました。

応急手当のやり方が分からない場合、方法について解説した動画を通報者のスマホに送るという使い方もあります。

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