6月こそ登りたい「檜洞丸」 満開の「ツツジ新道」にそなえる、絶景ポイント&ルート解説

西丹沢を代表する山、桧洞丸。沢を流れる心地よい水音と、ツツジをはじめアセビやシロヤシオなどの花々が登山者を出迎えてくれる(撮影:河野美花)

檜洞丸(ひのきぼらまる)は、神奈川県相模原市と山北町(やまきたまち)にまたがる、丹沢山地の西部に位置する山で標高は1,601m。

山名の「洞(ぼら)」は、沢の意味を持ち、その名の通り、気持ちの良い沢沿いを歩くことができる。山頂までのコースはいくつかあるが、6月に見頃を迎えるツツジを眺めながら歩く「ツツジ新道」コースを紹介したい。

目をひく赤紫の「トウゴクミツバツツジ」のほか、真っ白な「シロヤシオ」(別名ゴヨウツツジ)が咲き誇る様は必見の美しさだ。

■西丹沢ビジターセンターから、キャンプ場沿いを歩き「ツツジ新道入口」へ(西丹沢ビジターセンター〜ツツジ新道入口)

檜洞丸山頂に至る「ツツジ新道」コースへ向かう前に、西丹沢ビジターセンターで天気予報や通行止めなどの情報を収集しよう。

ここまでのアクセスは、公共交通機関の場合、小田急線 新松田駅とJR御殿場線 谷峨(やが)駅から富士急湘南バス「西丹沢ビジターセンター行き」バスが便利だ。マイカーの場合は、東名高速道路・大井松田IC、または御殿場ICよりそれぞれ50分ほどで到着する。駐車場は路肩スペース含め約30台ほど。満車の場合、1.5㎞ほど引き返したところにある駐車場を利用してほしい。路上駐車はほかの登山者に迷惑をかけるだけなく、緊急車両や工事車両の通行の妨げになるので厳禁だ。

さて、準備を整え「ウェルキャンプ西丹沢キャンプ場」に沿って500mほど進むと、登山口の「ツツジ新道入口」だ。目指す檜洞丸の山頂までは4.8㎞、およそ3時間30分の道のり。時間に余裕をもつためにも朝早くの出発が望ましい。

■登山道から緩やかな勾配の道を進み、ゴーラ沢出合を目指す(ツツジ新道入口〜ゴーラ沢出合)

ツツジ新道入口を進むとさっそく登り坂が現れるが、比較的傾斜の緩やかな道が続く。登り始めは特にペースを落として、ゆっくりと進もう。美しい新緑に囲まれ、沢の水音が心地よく響く初夏の山中はよいものだ。

登山口から「ゴーラ沢出合(であい)」までは2.2㎞、所要時間60分ほどだ。ここまでの標高差はさほど大きくないが、ゴーラ沢を渡渉した先から本格的な登山道が始まる。急勾配もあるので頑張りどころだ。

■ゴーラ沢出合の渡渉ポイントを越えたら、いよいよ本格的な登山開始だ(ゴーラ沢出合〜展望園地〜檜洞丸)

ゴーラ沢出合から山頂まで2.6㎞、中間地点に展望スポット「展望園地(てんぼうえんち)」がある。展望園地までは急勾配なので、要所要所にあるベンチで休みながら進もう。登山道は整備された階段が多く、歩きやすい。

例年なら5月下旬になると道中にシロヤシオやトウゴクミツバツツジが見られ、目を楽しませてくれる。筆者が訪れた4月下旬はシロヤシオの開花はまだなく、サクラやアセビが登山道を彩っていた。

展望園地では木々の間から富士山が覗き、登山者の疲れを癒やしてくれる。展望園地周辺は「ツツジ新道」の真骨頂ともいうべきトウゴクミツバツツジの群生エリアだ。ここで富士山とトウゴクミツバツツジの美しいコラボを楽しんでほしい。

展望園地から山頂までは1.8㎞、約100分。コース途中に石棚山稜(いしだなさんりょう)分岐があるので、間違えないよう地図や道標を確認のうえ、檜洞丸山頂方面に向かおう。

■檜洞丸山頂で、お花畑と富士山、丹沢最高峰「蛭ヶ岳」の眺望を堪能しよう(檜洞丸山頂〜下山道へ)

檜洞丸山頂は広く、大型ベンチがいくつも置かれているのでランチ休憩にもぴったりだ。富士山をはじめ、丹沢の最高峰「蛭ヶ岳」(ひるがたけ)や日本百名山「丹沢山」(たんざわさん)、丹沢の玄関口「塔ノ岳」(とうのだけ)などの山々を見渡すことができる。なお、山頂から蛭ヶ岳方面に5分ほど下ったところにトイレ(有料)がある。

最後に、下山道について触れておく。今回は、行きに通った道を戻るピストンコースを紹介した。ほかにも大笄(おおこうげ)、犬越路(いぬごえじ)方面の尾根道を経て戻る周回コースもあるのだが、2024年6月頃までの期間、工事中のため一部が通行止めとなっている。素晴らしい尾根道の絶景が見られるが、行動距離が長いので中級者向けとなる。工事が終了したら、筆者も歩いてみたいと思っているコースだ。

例年ならトウゴクミツバツツジは6月上旬に見頃を迎えるが、その年の天候によっても変わるので最新の開花状況を事前に確認してから出かけて欲しい。緑の山々に赤紫や純白の彩りを添える、トウゴクミツバツツジやシロヤシオの花々が最盛期を迎える6月に檜洞丸を訪れてみてはいかがだろうか。

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