いわきと若者の架け橋に 23歳起業、SNSで地域の魅力や情報発信

「いわきが、若手が活躍できる地域だと知ってほしい」と話す佐藤さん

 福島県いわき市の福島高専をこの春卒業した佐藤桃香さん(23)は、交流サイト(SNS)で若者向けに市内の飲食店や娯楽施設の情報を発信する会社「LOCO」を設立した。市での生活の魅力を伝えることで、高校卒業時に就職や進学で6~7割が市外に出てしまう深刻な若者の人口流出に歯止めをかけたいと考えている。佐藤さんは「いわきは若手が活躍できる地域だと知ってもらいたい」と意欲を語る。

 「常磐ものを食べるならココ」「大注目の商業施設に行ってきた」。運営するインスタグラムのアカウント「Loco iwaki(ロコいわき)」では、佐藤さんらが取材した店舗などの情報を発信している。佐藤さんは「リアルな雰囲気を伝えられる」と動画での発信を重視。飲食店のこだわりポイントなどを、はやりの曲に合わせて小気味よく紹介していく。若者が飽きないよう動画一つ当たり30秒程度にまとめるよう心がけているという。

 佐藤さんは同市小名浜出身。以前は、将来は東京に行って就職しようと漠然と考えていたという。「当時はいわきの楽しみ方が分からなかった」と振り返る。福島高専の専攻科に所属していた頃、市内の店舗側も若者向けのPRの仕方が分からないと悩んでいることを知った。飲食店などと若者をつなぐ架け橋になろうと、在学中の2022年8月にロコいわきでの発信を始めた。

 活動を通じて、自らも地元の魅力に気付いていった。ロコいわきは若者の心をつかみ、フォロワーは1万人を超えた。今後は市内企業の紹介など発信する情報の幅を広げていく方針だ。フォロワーには進学などを機に現在は市外に出た若者も多い。「いわきでの生活を総合的に発信し、戻ってきてくれる人、ここに残る人を増やしていきたい」

 佐藤さんは、いわきにはさまざまな創業支援の仕組みがあり、若者を応援しようという風土がある地域だということを同世代に広く知ってほしいと考えている。「『挑戦するならこのまち』とPRしたい。活力のある若者が集まればいい」(須田絢一)

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