リンナイ、高効率給湯器の普及拡大に注力 環境性能に加え快適・健康・安心を訴求

__住宅の省エネ化が強く推進されるなか、リンナイはECO ONE、エコジョーズの普及拡大に力を注ぐ。
高効率給湯器による環境負荷低減、さらには快適で健康的な暮らしの実現を目指す。__

今、国は住宅の省エネ化に力を注ぐ。家庭用エネルギーの大きな割合を占めているのが給湯分野であることから、給湯器の高効率化は大きな課題であり、国は支援策を通じてその普及を後押ししている。

今年度実施されている「住宅省エネ2024キャンペーン」は、「給湯省エネ2024事業」、「賃貸集合給湯省エネ2024事業」、「子育てエコホーム支援事業」という3つの事業で展開、昨年度よりも手厚い予算措置が取られている。

「給湯省エネ2024事業」ではハイブリッド給湯器に対して最大15万円/台の補助を実施。今年度から新たに開始された「賃貸集合給湯省エネ2024事業」は、大きな課題である賃貸集合住宅における給湯器の高効率化を目的にエコジョーズに対して7万円/台(追い焚き機能あり)が補助される。また、「子育てエコホーム支援事業」ではハイブリッド給湯器とエコジョーズがリフォーム対象製品となっており、戸当たり3万円が補助される。

こうした強い後押しのなか、リンナイは高効率給湯器の普及拡大に力を注いでいる。

リンナイはハイブリッド給湯器「ECO ONE」のラインナップ増強を図る。コンセント対応の「プラグインモデル」や「エアバブルテクノロジー」搭載機種を相次いで発売

既存住宅での買い替えや賃貸集合住宅での普及へ

同社が特に力を入れているのがハイブリッド給湯器「ECO ONE」だ。ECO ONEは、ヒートポンプユニットで取り入れた空気の熱を利用する技術とエコジョーズを組み合わせた給湯器で、高い省エネ性が大きな特長。従来型ガス給湯器と比べて年間給湯ランニングコストを約60%、約6.8万円削減することができる。また、CO2排出量は年間約56%もの削減量だ(160Lタイプの場合)。

取り替え・買い替え需要に対しては、エコジョーズを推進

同社が「ECO ONE」を発売した2010年から15年が経とうとしているが、モデルは第5世代となり、省エネ性ナンバーワンの性能の認知が広まるにつれ販売数も徐々に増加してきた。国の補助制度もあり、2023年度の「ECO ONE」の販売台数は前年度比160%と大きく伸長した。

ただ、エコジョーズに比べて「ECO ONE」の認知度はまだまだ低いのが現実。リンナイでは「認知拡大が最重要課題」(営業本部営業企画部・伊藤敬一次長)と、その周知に力を注ぐ。ECO ONE導入メリット訴求のほか、補助金メッセージを加えた内容でTVCMを強化するほか、雑誌・新聞などの広告、SNSなどでの露出機会を増やしている。販売事業者に向けてはメディアを通じたPRのほか、ビジネス向けのウェブサイトも改修した。特に力を入れているのが補助金関係で、複雑な申請をサポートする資料を充実させ、申請の行い方の解説を掲載。行政書士による補助金代行申請や販売事業者の取り組み事例などを紹介している。

また、これまでECO ONEは新築戸建住宅を中心に展開してきたが、リンナイでは集合住宅向けの新商品を発売、大手デベロッパーなどに対する提案を強化している。また、取り替えについても、エコジョーズを含めサービス施工店とのタイアップ、リフォーム事業者への提案活動を進めている。

ただ、ECO ONEは貯湯タンクやヒートポンプを置くスペースが必要なことから、取り替え・買い替えが難しいケースもある。また、ユーザーの生活スタイルによってはランニングコストメリットが出にくい場合もある。そういうケースで提案しているのがエコジョーズだ。

経済産業省はエネルギー基本計画のなかで高効率給湯器の普及目標として「2030年までに3050万台」を掲げており、業界をあげて目標達成に向けた普及拡大が推進されている。

特に既築の賃貸集合住宅における給湯器の高効率化が大きな課題であることから、同社でもアパートオーナーなどに対する提案活動に力を入れている。「エコジョーズの販売台数は23年度下期には流通在庫が適正化したことから、今後は大きな伸長を見込んでいる」という。

「エアバブルテクノロジー」など、価値を訴求

リンナイでは「単に高効率であるというだけではなく、消費者への魅力を増す」ため、「エアバブルテクノロジー」や「レジリエンス」など、さまざまな付加価値提案を進めている。

特に力を入れているのが、微細な泡を水に溶け込ませる独自技術の「エアバブルテクノロジー」だ。お湯に微細な気泡を発生させ、白濁の湯を楽しむことができる「マイクロバブルバスユニット」、水まわりの掃除負担を減らす「ウルトラファインバブル給湯器」を展開している。

また、自然災害の甚大化・頻発化を背景に住宅のレジリエンス性が強く求められている。特に災害時にはインフラの断絶は場合によっては人の生命を左右することもあり、その対応が進んでいる。同社でも停電時の湯水の確保などの対応を進めている。

「マイクロバブルバスユニット」(上)は、リラックス効果や入眠環境サポート、うるおい効果などを提供する。「ウルトラファインバブル給湯器」(下)の設置により、家中どこでもウルトラファインバブル入りのお湯を使うことができる

リンナイでは、こうした価値を落とし込んだ新商品を相次いで発売。ECO ONEでは、今年4月に「160Lタイプ」をモデルチェンジ、業界最高効率の年間給湯効率148.1%を達成するとともに、災害などの断水時には非常用取水栓で貯湯タンクから簡単に湯水を取り出すことができるようにした。また、160Lタイプで初となる「エアバブルテクノロジー」搭載機種もラインアップした。

昨年9月には住宅用コンセント対応のヒートポンプを採用した「プラグインモデル」を「エコワン X5」にラインアップしている。既設の屋外コンセントがそのまま使用でき、ガス給湯器からの取り替え時に必要となる専用電源配線や基礎工事が不要となる。また、「エアバブルテクノロジー」搭載機種もラインアップしている。発売から半年ほど経過したが、販売は好調で、ECO ONEの販売拡大の一因になっているという。

一方、「エコジョーズ」では、今年2月にウルトラファインバブル給湯器のラインアップを拡充、FF方式・屋内壁掛けタイプ、集合住宅取替タイプ、スリムタイプの給湯暖房熱源機、据置型のふろ給湯器の計4種を発売した。これにより寒冷地、分譲・賃貸マンションなどの集合住宅、都市部狭小地への設置も可能となった。「エコジョーズ」では多くを占める買い替えの場においてウルトラファインバブル付きの給湯器の販売が好調という。

省エネという地球環境への配慮に加え、エアバブルテクノロジーによる生活の質の向上やレジリエンス性という安心・安全などの価値提案を両軸に、さらに高効率給湯器の普及拡大に力を入れる考えだ。

リンナイ
TEL:052-361-8211(代表)
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