災害関連死調査、国際誌に掲載 福島医大の論文

 福島県南相馬市で東日本大震災の災害関連死と認定された人の約4割が発災から6カ月以降に亡くなっていたことを示す福島医大放射線健康管理学講座の研究チームの調査結果が、国際放射線防護委員会(ICRP)が発行する学術誌に原著論文として掲載された。原発事故に伴う避難がもたらした間接的な健康影響や、長期的な対策の必要性を示した調査結果が、有益な情報として認められた形だ。

 医大が28日、発表した。県内の自治体で災害関連死が最も多い南相馬市で2011年9月~21年2月に認定された520人を調査。発災から死亡までの平均日数は230日で、6カ月以降に亡くなった人が37.8%を占めた。約8割が3カ月以内に死亡した宮城県石巻市や、6カ月以降の死は災害との関連が低いとされる「長岡基準」(新潟県中越地震の際に作られた災害関連死の基準)とは異なる結果が見られた。

 同講座の沢野豊明博士研究員(34)=常磐病院医師=は「災害関連死に関する論文は限られ、ほとんどが地震のみに関するもの。今回(の調査結果)は特殊だった」とし、長期的な対策の必要性を訴えた。筆頭著者の内悠奈氏(医学部6年)は、520人の平均年齢が82.7歳だったことにも触れ「高齢化率が高い能登半島地震の被災地でも災害関連死があり、災害が起こるたびに問題になる。知見を役立てられれば」と話した。

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