高砂香料工業 飲料向けなどフレーバー堅調 通期は過去最高の更新見込み

高砂香料工業(桝村聡社長)の2024年3月期の売上高は前期比4.9%増の1千959億円、営業利益は61.1%減の23億円だった。日本、アジアの堅調な推移に加え、円安効果により増収だったが、海外売上高が現地通貨ベースで減収となったことや原料高騰の影響などを受け、減益だった。

地域セグメントの中で日本は、フレーバー部門のうち飲料関連が堅調に推移し、フレグランス部門もランドリーケアなどが堅調だったため、売上高は1.2%増の723億円だったが、原料高や人件費高騰の影響などにより営業利益は40.4%減の14億円となり増収減益。

25年3月期の通期業績は、売上高は2千50億円(4.6%増)、営業利益は72.7%増の40億円を目指す。米州、アジアの伸長により過去最高売上を更新する見込みで、原料価格の落ち着きや価格転嫁の伸長などにより増益を確保。中期経営計画の基本方針である「海外の成長」「国内の収益性改善」に沿った施策を推進し、成長市場での売上伸長、主に国内における製品構成の最適化を図り、将来に向けた事業基盤強化、成長投資の実行を目指す。

フレーバー、フレグランス、アロマイングリディエンツ、ファインケミカルの4つの事業分野のうち、飲料向けなどのフレーバー事業は、事業戦略や設備・研究投資を通じて、新規顧客の獲得や振興国でのビジネス拡大、製品ポートフォリオ適正化により、収益性の改善、各地域でのニーズを満たす素材、製品開発とグローバル連携による競争力の強化により成長を見込んでいる。

同社では「香料業界は、各国の経済状況の影響を受けながら、競合他社との厳しい競争が続いているが、市場は東南アジアでの成長が引き続き期待できる一方、成熟市場である欧米でも底堅い成長が見込まれている」としている。

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