国道沿いを虹色に彩るジャーマンアイリス 川俣・山木屋地区

花に囲まれながら「花は生きがい」とほほ笑む渡辺さん=川俣町山木屋地区

 辺り一面を虹色に彩る花畑が川俣町山木屋地区の国道114号沿いに広がり、見頃を迎えている。花はアヤメ科の「ジャーマンアイリス」で、緩やかな傾斜の約13アールが黄色、ピンク、オレンジ、紫色に染まる。同じ色でも濃淡に違いがあり、約120種4万5千株を超える。自宅の畑で育てる渡辺春子さん(72)は「花は生きがい。第二の子どもみたい」とほほ笑む。

 ジャーマンアイリスは多湿を嫌い、水はけや日当たりに細心の注意を払うなど栽培には苦労も伴う。それでも「気品があって高級な花。一目ぼれしちゃった」と約27年間世話を続け、朝夕の草むしりが日課だ。

 「生かしてもらっているから、世の中に貢献したい」と庭いじりの原動力を語る。渡辺さんは2009年、卵管がんを発症した。幸い発見が早期だったため治療を経て今は元気に過ごす。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で二本松市に避難した際も定期的に手入れした。「私には花しかない」。7年前に避難指示が解除されると帰還し、県北と浜通りを結ぶ国道沿いの目立つ場所に植え替えた。

 見頃は今月末まで。「いつも草むしりしながら『どうきれいに見せるか』と考えている。今年も立派に咲いてくれてありがとう」。自宅を花でいっぱいにしながら、地域と道行く人の心を癒やしている。(南哲哉)

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