福井梅ピンチ、暖冬響き出荷量3割減か JA危機感「半分程度になる可能性も」

昨年は豊作だった福井梅=2023年5月、福井県若狭町田井
福井梅の出荷量推移

 5月末から出荷が始まる福井梅の出荷量が、昨年の7割程度に落ち込みそうだ。暖冬で開花が早まり結実率が低下したことなどが原因で、品種によっては平年の2~3割程度の出荷しか見込めない不作のものもある。JA幹部は「出荷量が昨年の半分程度になる可能性もある」と危機感を募らせている。

 JA福井県中央会などによると、主力品種で梅干し作りに適した「紅映(べにさし)」は、暖冬の影響で今年は平年より10日以上早い2月13日に開花。めしべが育ちきる前に開花してしまったことや、2月下旬以降の低温で蜂の活動が活発化しなかったことから受粉が進まず結実率が低下した。昨夏の猛暑で木に水分が満足に行き渡らなかったことも影響し、結実率は紅映が昨年の6割程度。福井梅の出荷量全体の1割を占める、梅酒に適した「剣先」に関しては結実率を出せてない。

 昨年は豊作だったこともあり、県内JAが取り扱う出荷量は1069トンだった。豊作の翌年は減少する傾向にあるが、今年は不利な気象条件が重なって大幅な減少予想につながった。今年の出荷量は700トン程度を予想し、平年と比べても100~200トン近く下回ることが想定される。

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