強制不妊、最高裁大法廷で弁論 「手術受けたくなかった」

旧優生保護法下での強制不妊手術を巡る訴訟の上告審弁論が開かれた最高裁大法廷=29日午前(代表撮影)

 旧優生保護法下で不妊手術を強いたのは憲法違反だとして、聴覚障害のある夫妻=大阪府=らが国に損害賠償を求めた訴訟の上告審弁論が29日、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)で開かれた。原告は「手術を受けたくなかった」と訴えた。訴訟は手術から20年以上後に起こされており、不法行為から20年が過ぎると原告の損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」を適用するかどうかが最大の争点。高裁段階の見解は分かれ、最高裁が夏にも判決で統一判断を示す見通し。

 原告の野村花子さん=仮名、大阪府=は「不妊手術を受けず、そのままの体でいたかった」と手話で訴えた。原告側の弁護団は、除斥期間を適用することは「著しく正義・公平の理念に反する」と主張した。

 国側は除斥期間を適用すべきだとし「例外を広く認めることは当然かつ絶対的な権利消滅という除斥期間の概念に矛盾する」とし、原告らの請求は棄却されるべきだと述べた。

 大法廷の審理対象は札幌、仙台、東京、大阪、神戸の各地裁に起こした5訴訟。昨年6月1日までに高裁判決が言い渡された。

旧優生保護法違憲訴訟の上告審弁論で最高裁に向かう原告(前列右から3人目)と弁護団ら=29日午前

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