台湾の祝日は毎年変わるってホント?そもそも「旧暦」って何?【後編】

ニーハオ(你好)、ゆうです。関西から台湾に引っ越してきて7年。
元々台湾旅行が大好き♡からの憧れの台湾暮らし!

現地在住だからこそ感じる台湾の魅力や習慣について、いろいろと発信しています。
今回は、知ってそうで知らない台湾の祝日についてご紹介します。

国が違うと祝日が違うのは当たり前・・・かもしれませんが、台湾の祝日は毎年変わるという特徴があります。
それはなぜなのでしょうか?

前編では、台湾の祝日の特徴と新暦に基づいた祝日についてご紹介しました。
後編では旧暦に基づいた祝日について詳しく見ていきましょう。

新暦に基づく祝日についてはこちら↓


台湾の祝日や節句の基準になる「旧暦」とは?

旧暦は月の満ち欠けを基準とした暦です

台湾の節句は、「旧暦」に基づいています。
旧暦は中国語では「農歴(ノンリー)」といいます。

それに対して新暦(太陽暦)は「國歴(グォリー)」です。
旧暦とは、太陰暦とも呼ばれる暦法の一種です。

太陰暦は、月の満ち欠けや月の回転周期を基にした暦法であり、1か月を満月から満月までの約29.5日として計算します。
太陰暦は、古代から広く使用されており、日本でも沖縄では旧暦に合わせて様々な行事や神事が行われていますね。

旧暦は、太陰暦の特性から、一般的な太陽暦(西暦)と比べて年の長さが約354日となり、11日短くなります。
これが、旧暦の年が西暦の年に対して移動する、つまり台湾の祝日の日にちが毎年変わる原因です。

旧暦におけるうるう年は、なんと6月が2回あり、通常の年に比べて1か月長くなります。
うるう年の挿入によって、旧暦の暦法を太陰暦の周期に合わせています。


台湾の日常に根付いた旧暦

毎月2回、満月と新月の日には土地公にお参りに行きます

台湾では祝日や節句以外にも、旧暦が日常に根付いています。
例えば、初一十五(旧暦の月の1日目と15日目)には、土地公というその土地の神様を祭っているお寺にお参りをします。

商売をしている人は、初二十六(旧暦の月の2日目と16日目)です。
これが当たり前の習慣になっているので、夜空を見て満月や新月が近くなってくると、「あ、そろそろお参りだな」と思います。

ちなみに初一が新月十五か十六が満月です。
「十五夜お月様」が満月なので、なじみがあるかもしれませんね。

またお参りの時期には、スーパーなどでも、「お参りにはフルーツを」というような感じの売り文句もよく見かけます。
また、今の60代以上の方だと(地域によってはもう少し若い方も)誕生日は旧暦で祝う方が多いです。

他にも、旧暦の7月(農歴7月)は鬼月(グェイユエ)とも呼ばれ、鬼門が開き、悪霊や魂が人間界に出現すると信じられています。
鬼月中は、悪霊や魂を避けるために人々が慎重に行動する習慣があります。

例えば、深夜に外出することや、水辺で泳ぐことを避ける、結婚式や祝い事を行わない、家に灯りをともすなどの慣習があります。
諸説あるようですが、髪の毛を切らない、部屋の家具を移動しない、というのも聞いたことがあります。


旧暦に基づいた台湾の祝日

台湾の旧暦に基づいた祝日は、色々な行事が行われたり、それぞれの節句を象徴する食べ物があったり、盛大に行われます。
新暦の祝日と合わせても、台湾の祝日は春節期間を除き7日間しかありません。

日本は欧米に比べ休日が少ないと言われますが、台湾はそれよりはるかに少ないです。
待ちに待った休みということもあり盛大になるのかもしれませんね。

1.旧暦12月末日 除夕

大晦日には家族で食事をします。こちらは年夜飯の定番料理「佛跳牆」

大晦日には、年夜飯といって、家族で集まって夕食を共にする習慣があります。
またこの日は子供も夜中12時まで起きて年を越します。

これは日本と同じ習慣ですね。
大晦日から、春節の連休がスタートします。

2.旧暦1月1日 春節

旧正月前には多くの飾り物が売られ、街が華やかになります

春節は、旧正月です。
写真のような赤と金の飾り物は、台湾っぽさを感じるのではないでしょうか?

旧正月が近づくと、春聯やお正月に食べる料理やお菓子が売られ、街全体がお正月ムードに包まれます。
旧正月の1日目を初一といい、初一から初五までが祝日になります。

多くの企業で、仕事始めは初六です。
学生はこの時期が冬休みになり、春節の時期によって春節の前が休みになる年と、春節の後が休みになる年があります。

旧正月には、お参りをしたり、親族と食事に出かけたり、様々な習慣があります。
初二は、お嫁に出た娘が実家に帰る日です。

旧正月には多くのお店が休みになり、観光地は人であふれかえるため、この時期に台湾に行く場合は、それを踏まえしっかりと計画を立てた方がいいと思います。
この時期は多くの人が地元に帰るので、台北は比較的すいているとの情報です。

3.旧暦清明 清明節

清明節にはお墓掃除をする習慣があります

清明節は家族全員で祖先を祀る伝統的な節日です。
「旧暦清明」となっていますが、これは二十四節気の一つでもあります。

二十四節気は、太陽の黄経が15度ごとに分割された二十四の節目で、季節の変化を示す暦法です。
清明節は、二十四節気の4月4日頃に位置し、春分の後の最初の満月の後の15日目にあたります。

太陽暦にも関係していますが、4月4日~6日の間で変動するので、新暦・旧暦の両方の影響を受ける祝日といえます。
この日には、掃墓(サオムー)といって、お墓掃除をする習慣があります。

4.旧暦5月5日 端午節

端午節が近づくと、街のいたるところで粽が売られています

端午節の由来は諸説あるので、ここでは割愛します。
台湾で端午節といえば粽(ちまき)

もしこの時期に台湾に来たら、是非色々な粽を味わってみてください。
北部と南部で大きく作り方が異なるので、機会があれば両方食べてみてくださいね。

鹼粽といわれる冷たい甘い粽もあり、この時期にしか味わえないものです。
他にも、划龍舟(ドラゴンボート祭り)が行われたり、邪気を払い健康や幸福を祈願するための香包(香り袋)が贈られたり、様々な習慣があります。

5.旧暦8月15日 中秋節

月餅はお土産としても人気です

中秋の名月を鑑賞する伝統的な節句です。
この時期には、月餅をお世話になった人に贈る習慣があります。

その他、焼肉文旦を食べます。
焼肉は、「月を見ながら焼き肉を食べよう」というCMから火が付き、今では「中秋節といえばまず焼肉」という程の習慣になりました。

台北は道端での焼肉(バーベキュー)は禁止されていますが、少し田舎の方に行くと、家の前や1階の店で焼き肉をしている風景に出会うと思います。
中秋節当日に限らず、前後1ヶ月くらいは、焼肉をしている風景をよく見かけます。


祝日にならない節句

その他、重要な節句でも祝日になっていない日もあります。

1.元宵節 旧暦の1月15日

平渓のランタンフェスティバルには世界中から観光客が訪れます

元宵節には台湾の多くの場所で、ランタン祭りが行われ、イルミネーションされます。
色々なイベントも合わせて行われるため、元宵節が終わるまではお正月モードが続いています。

元宵節のイベントとして有名なのが平渓のランタンフェスティバルではないでしょうか?
平渓ランタンには100年の歴史があり、毎年元宵節の前後には十数万人の人々が訪れます。参加者はランタンに願い事を書き、それぞれの願いを天に届けます。

数千ものランタンが夜空をゆっくりと上がっていく幻想的な風景は、世界中からも注目を集めるイベントです。
子供たちは、「燈籠」とよばれる提灯を手作りし、灯して歩くのを楽しみにしています。

2.中元節 旧暦の7月15日

お参りでは紙でできたお供え用のお札を燃やします

中元節は、先祖や亡くなった魂を供養し、冥界の魂を救済するために行われる重要な行事で多くの場所でお参りが行われます。
軒先で行われることが多いので、街を歩いていると遭遇することがあるかもしれません。

その他にも、夏至冬至にも決まった食べ物があるなど、日本でいうところの「昔ながらの習慣」がまだ根付いています。
節句ではないですが、母の日父の日も日本と比較すると盛大にお祝いする習慣があります。

実家から離れて住んでいる人も、母の日、父の日には実家に帰り、家族で食事をします。
この時期はレストランが予約でいっぱいのこともあるので、注意が必要です。

ちなみに、母の日は日本と同じ5月の第二日曜日、父の日は8月8日(中国語でパパの日)です。


祝日に台湾旅行を計画するときの楽しみ方と注意点

台湾の文化を楽しみたいのであれば、特に旧暦の祝日に合わせて旅行に来るのはおすすめです。
ただし、どうしても行きたい観光地がある場合などは、いつも以上に混むので注意しましょう。

<楽しみ方>

  • その時期にしか食べられないものを味わう
  • お祭りやイベントがある

<注意点>

  • 観光地はとにかく混む
  • レストランなどが予約でいっぱい
  • 道も混むので車移動は避けるべき
  • お寺はお参りが行われていることが多く、観光客は歓迎されないムードのことも

台湾旅行を計画する際には、事前に祝日を調べておくのがベストです。
もしチケットを取った後に祝日に気づいたら、観光コースは祝日を考慮して調整することをおすすめします。

この記事が、あなたの台湾一人旅のきっかけになれば嬉しいです。

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