富山さん生きざま映画に ロス五輪レスリング金 「夢を喰う」公開 茨城町出身 

富山英明さんのドキュメンタリー映画「夢を喰う」の公開を発表する西山理彦プロデューサー(左)ら=県庁

茨城県茨城町出身で1984年のロサンゼルス五輪レスリングフリースタイル57キロ級金メダリスト、富山英明さん(66)のドキュメンタリー映画が完成した。引退後も変わらぬ情熱を持ち、夢を追い続けるレスラーの人生に迫った作品は今夏、公開予定。6月8日には同県水戸市内で開かれる中学生のレスリング全国大会で公開される。

映画は「夢を喰(くら)う THE WRESTLER」。ソフトウエアサービスなどを手がけるMUGENUP(東京都)が制作した。84年に富山さんが出版した同名の自叙伝を原案に、2015年末から8年間に及ぶ密着取材を経て、75分間の長編作品に仕上げた。

作品では、主に引退以降を中心に、富山さんのレスラーとしての生き方を描いた。指導者として選手への向き合い方や、レスリングに対する考え方、帰省時のプライベートでの素顔などを、現役時代の映像も交えながら記録した。

同社の西山理彦プロデューサーらが27日、県庁で会見し「アスリートが一線を退いた後、何をモチベーションに人生を戦うのか伝える作品」と説明。スポーツ選手の現役時代の短さにも触れ、「富山さんの生きざまや人生を、アスリートを目指す若者に知ってもらい考えてほしい」と話した。

映画は7月6日から都内を皮切りに一般公開される予定で、県内劇場でも公開を目指す。公開に先立ち、水戸市のアダストリアみとアリーナで6月8日から開幕する「沼尻杯全国中学生レスリング選手権大会」で公開する。

茨城県はレスリング王国とされ、今年で50回目を迎える同大会には全国の中学生が集まる。全国中学生レスリング連盟の松崎忍会長は「映画で富山さんの努力する姿や人生に触れ、若い選手たちが夢や希望を持つきっかけにしてほしい」と期待を込める。

富山さんは茨城町生まれで1978、79年の世界選手権を連覇。80年のモスクワ五輪は金メダル本命とされたが、日本のボイコットで出場がかなわなかった。4年後のロス五輪では、フリースタイル57キロ級で金メダル獲得。2021年10月、日本レスリング協会の会長に就任した。

富山英明さん

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