豪4月CPI、5カ月ぶりの高い伸び 利上げ警戒感高まる

Stella Qiu

[シドニー 29日 ロイター] - オーストラリア統計局が29日発表した4月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比3.6%と3月の3.5%から予想外に加速し、5カ月ぶりの高水準となった。

ガソリン価格上昇や医療費、休暇関連コストの増加が一因。市場予想は3.4%上昇だった。オーストラリア準備銀行(中央銀行)の次の一手が利上げになるリスクが高まった。

コアインフレ率の指標として注目されるCPIの中銀トリム平均値も前年比4.1%上昇と前月の4.0%上昇から加速した。

変動の大きい品目と旅行を除いたCPI上昇率は前年比4.1%で、前月から変わらずだった。

ただし、市場の反応は鈍い。豪ドルは0.6657米ドルと、0.1%の上昇にとどまった。統計発表前から下落していた3年債先物はさらに2ティック下げ95.93で推移している。

スワップ市場が織り込む9月の25ベーシスポイント(bp)利上げの確率は12%から20%にやや上昇。利下げは来年8月か9月以降との見方が強まった。

INGのアジア太平洋地域リサーチ責任者、ロバート・カーネル氏は、統計について「季節的歪みや供給問題を背景とした構成要素の一部の大幅な上昇によって引き起こされた偶発的なものではない」と分析。

統計発表後、今年1回の利下げとしていた予想を取り下げたとし「2025年についてはまだ確定的なことは言えないが、今のところ50bpの緩和予想を維持する。しかし、リスクが引き締め方向にシフトしていることを考慮しなければ、不誠実ということになる」と述べた。

四半期の最初の月に当たる4月のCPIはモノの価格に偏っており、粘着的な傾向があるさまざまなサービスの価格変動を捉えていない点も当局者の判断を複雑にしている。

<高い利上げのハードル>

中銀は第1・四半期CPIが予想を上回ったことを受け、インフレリスクがやや高まったとの認識を示しつつも、金融政策の「過度の微調整」は避ける意向を表明している。

ムーディーズ・アナリティックスのエコノミスト、ハリー・マーフィー・クルーズ氏は、12月に25bpの利下げが実施されると予想。「金利は当面据え置かれるだろう。次の動きは利下げになろうが、それまでもう少し長く待つ必要がある」と述べた。

4月のCPIは前月比では0.7%上昇。衣料・履物(4%上昇)や医療費(2%上昇)が押し上げ要因となった。

旅行・宿泊料金は4.6%上昇。イースター(復活祭)や学校の休暇に伴い海外旅行需要が高まり、今年初めて前月比で上昇した。

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