格下に敗れラケット破壊…物議の韓国テニス選手、メジャー大会21カ月ぶり勝利で「復活ののろし」

かつてラケット破壊や握手拒否などの“非マナー”行動で物議を醸した韓国男子テニス選手のクォン・スンウ(26、世界ランキング494位)が、復活ののろしをあげた。

クォン・スンウは5月27日(日本時間)、フランス・パリのスタッド・ローラン・ギャロスで行われた全仏オープン男子シングルス1回戦で、フィンランドのエミル・ルースブオリ(25、世界67位)に3-0(6-3、6-4、6-3)で勝利した。

ルースブオリ相手に苦戦が予想されたものの、比較的簡単に相手を制圧した。雨天のため2~3セットで試合が中断されるアクシデントもあったが、クォン・スンウは最後まで集中力を失わなかった。

結局、2時間28分を要した試合で、クォン・スンウは相手に1セットも与えず勝利を手にした。

クォン・スンウは同日、サーブの得点が2点に過ぎなかったが、最高速度は時速206kmに達した。ファーストサーブの成功確率は69%を記録した。凡ミス数も、ルースブオリの「46」より少ない「30」だった。

メジャー大会のシングルス本選で勝利を収めたのは、2022年8月の全米オープン2回戦進出以来、今回が1年9カ月ぶりだ。

昨季は全豪オープン、全米オープンいずれも1回戦で敗退。全仏オープンとウィンブルドン選手権には参加しなかった。

何より、全仏オープンは「約束の舞台」のようなものだ。クォン・スンウのメジャー大会最高成績は全仏オープンで生まれたからだ。

クォン・スンウは2021年の全仏オープンで3回戦まで進出した。これは現在まで唯一となるメジャー大会3回戦進出の記録だ。

クォン・スンウ

格下に敗れラケット破壊も…苦境続いたクォン・スンウ

韓国男子テニスの“看板選手”を背負っていたクォン・スンウだが、近年は苦しい時間が続いた。

肩の負傷でATPツアー(男子プロテニスツアー)を思うように戦えず、昨年9月の杭州アジア大会ではシングルス2回戦で格下選手に敗れた後、ラケットを破壊したり、相手選手との握手を拒否したりするなど、“非マナー”行動で物議を醸した。

こうした不振から、最高52位だった世界ランキングも600位圏まで落とした。

また同期間には、昨年5月から公開恋愛を続けていたK-POPガールズグループWonder Girls出身の歌手ユビン(34)と同年10月に破局するなど、プライベートでも慌ただしい日々が続いた。

ただ、クォン・スンウは現在、選手が負傷により最低6カ月以上大会に出場できなかった場合、負傷前のランキングで大会にエントリーできる救済制度「プロテクトランキング」を活用。同制度を通じて9~12のツアー大会に出場できるため、徐々に本来のパフォーマンスを取り戻そうとしている。

実際、今年3月のマイアミオープンでは約1年ぶりとなるツアー勝利をマーク。そして今回、全仏オープンでもその勢いを維持することになった。

クォン・スンウは本日(29日)行われる2回戦で、アメリカのセバスチャン・コルダ(23、世界28位)と対戦する。同選手とは2021年1月のデルレイビーチ・オープンで対戦し、敗れた経緯がある。

仮にコルダに勝利することができれば、3回戦では大会第3シードであるスペインのカルロス・アルカラス(21、世界3位)と対戦する可能性が高い。

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