名古屋駅前にオープンしたウクライナの人たちが手作り料理でもてなすレストラン。
スタッフの多くは、ウクライナから避難してきた人たちです。店に込めた思いを取材しました。
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名古屋駅前の高層ビル群の地下1階。5月にオープンしたウクライナ料理のレストランがあります。 店の名前は「ジート」。ウクライナ語でライ麦を意味します。 ライ麦の生地を使った「黒パン」をはじめ、小麦粉の生地にジャガイモや果物を包む「ヴァリーニキ」ウクライナ風の餃子。 そして、赤い野菜「ビーツ」を加える煮込み料理といえば、ウクライナを代表する郷土料理、「ボルシチ」です。
避難民を支援してきた2人
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レストラン「ジート」を立ち上げた、川口プリス・リュドミラさんと榊原・アレクセイツェヴァ・ナターリヤさん。 長く日本に住む2人は、2018年に「日本ウクライナ文化協会」を設立し、ウクライナ文化の発信と交流を続けてきました。 「ウクライナ料理教室を何回も行ってきたし、ウクライナランチをやったこともあります」(日本ウクライナ文化協会 川口プリス・リュドミラ理事長) 2022年2月、ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、「日本ウクライナ文化協会」は避難民を積極的に支援しています。 日本に避難してきた人たちに日本語教室を開いたり働く場を提供したり、2人はこの2年間走り続けてきました。
念願のレストランオープン
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そして5月、念願のウクライナレストランをオープンすることが出来ました。 「避難民たちは仕事が見つからない人が多かった。高齢者は特に働く場所がないとどうやってこれから生活するか。ここなら日本語がわからなくても生活のためにお金を稼ぐことができる」(川口プリス・リュドミラさん) ウクライナ避難民を支援する名古屋の企業が2人の思いに応えて物件を探し、わずか2カ月でオープンにこぎつけました。 飲食店で使われていた貸店舗のインテリアをウクライナの雰囲気に模様替えしました。
仲間たちと一緒に開店準備
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店のオープンに向けて、仲間たちが力を貸してくれます。 「2年前に来て日本語は少し分かる。ここはウクライナ人がいて、日本人もいて楽しい」(避難民 ロフルスカ・インナさん) インナさんは学んだ日本語でホールスタッフに挑戦します。しかし、本来の仕事は心理学者。 全員がこれまでの自分のスキルをいかした仕事ができるわけではありません。それでも日本で暮らすウクライナ人たちの希望の場所として、このレストランはあるといいます。
オープンに向けて
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オープンの1週間前。店ではスタッフの研修が行われていました。 ナターリヤさん 「メニューがお決まりになったらお呼びください。このように言ってね。『メニューどうぞ。おすすめはランチ1です。ウクライナのボルシチとキーウカツレツとマッシュポテトです』」 キッチンでは料理の仕込みが進んでいました。 それぞれの家庭で築き上げてきた自慢の味を、ここでは同じ大きさ、同じ味にしなければいけません。 マリアさんは仲間から「ヴァリーニキならマリアさん」と言わしめるほどの腕前です。 「家だと気分で作れるけど、ここはレシピ通りに作るから難しい」(避難民 サルク・マリアさん)
迎えたオープン当日
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迎えた15日、オープンの日。 「ウクライナ避難民たちが心をこめて作る料理をぜひ味わってください」(日本ウクライナ文化協会 川口プリス・リュドミラ理事長) 野菜をふんだんに使ったウクライナの家庭料理が並びます。 今回のオープンに関わった企業や日頃から避難民の支援を続けるNPOなどを招きました。時間をかけて料理を楽しむ。店はおしゃべりと笑顔に包まれていきました。 2人の熱意に賛同した企業はーー 「(日本ウクライナ文化協会から)『本当に困っていた時に、受け入れてくれた地域の方々にお礼の気持ちを表したい。感謝の気持ちを伝えたい、食文化を通して』。その言葉が心に響きました」(積村ビル管理 二村伝治社長)
ウクライナ人の生きがいを目指す
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かつて、同じように日本の社会に馴染むのに苦労したリュドミラさんとナターリヤさん。いま仲間にこんな思いを寄せています。 「私の気持ちとしては、ここで働いてウクライナの雰囲気を感じてほしいけど、日本社会のルールをわかってほしい。厳しくするのではなく、日本らしい雰囲気があるからここに来られる」(榊原アレクセイツェヴァ・ナターリヤさん) 「子どもが育つみたいに。いつか社会に出る子どもを育ったら、どこでも働けるようにしたい」(川口プリス・リュドミラさん) 日本語でコミュニケーションをとることにチャレンジ出来るホール。ウクライナ語で仕事が出来るキッチン。レストラン「ジート」は、この地方で暮らすウクライナの人たちの生きがいとなることを目指し、母国の味を提供していきます。