自民の財政規律派が「骨太」提言案、円の信認と金利上昇を懸念

Yoshifumi Takemoto

[東京 29日 ロイター] - 自民党内の財政規律派が、6月後半にも政府がまとめる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に向けた提言案に、円の信認と金利の上昇を懸念する文言を盛り込んだことが分かった。ロイターが29日、提言案を確認した。財政再建の重要性を訴えており、骨太に反映させようと政府への働きかけを強めている。

自民党の財政健全化推進本部(古川貞久本部長)がまとめた提言案は、「足元の為替の状況に対してことさらに悲観的になる必要はないが、少なくとも円の信認は絶対のものではないことは常に意識しておくべき」と指摘。「円に対する信認を維持していくためには、経済のファンダメンタルズはもとより、政治の安定を含めたトータルの国力を維持していくことが重要」としている。

また、日銀が3月に大規模金融緩和政策を見直したことに言及し、「今後は長期金利の水準は市場が決めていくことになる」、「財政運営に当たっては、もはや低金利を当然の前提とすることはできなくなりつつある」と懸念を示している。

このため「2025年度の基礎的財政収支(プライマリー・バランス)黒字化を目指すとともに、債務残高対GDP(国内総生産)比の安定的引き下げを目指すという財政健全化目標を堅持する」と明記。「その後も継続的にプライマリーバランスの黒字幅を確保し、債務残高の対GDP比を安定的に引き下げていくべき」としている。

一方、党内の財政積極派の財政政策検討本部(西田昌司本部長)は、能登半島地震復旧など必要な予算の制約になりうるとして25年度のPB黒字化目標の撤廃などを要望している。

複数の政府・与党関係者によると、政府は「経済あっての財政」との表現を従来通り維持することで積極派の懸念を払しょくしつつ、金融市場での信認確保を重視し25年度黒字化目標を堅持する方向で調整を進めている。鈴木俊一財務相はこのところ金利上昇が財政に与える影響について発信を強めており、25日には「低金利のもとで、国債発行することができたこれまでとは異なる金利のある世界が到来した」と語った。

このほか財政規律は提言案で、ガソリン補助金(激変緩和措置)について「足元では国際的な原油価格は低下してきたこと」などを踏まえれば「財政の観点からも早期に終了することが適当」などと記述している。

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