「ありのままの体でいさせてほしかった」 最高裁大法廷で強制不妊被害者ら悔しさ吐露

意見陳述を終え、報告集会で強制不妊手術への思いを手話で語る野村花子さん(右)と夫の太朗さん=29日、東京都千代田区・衆議院第一議員会館

 優生保護法(1948~96年)下で強制不妊手術を受けさせられたのは憲法違反だとして、被害者や配偶者が国家賠償を求めている訴訟を巡り、最高裁大法廷は29日に弁論を開いた。戸倉三郎長官を含む15人の裁判官を前に、大阪、東京、北海道、兵庫、宮城の各訴訟の原告が意見陳述し、癒えることのない悔しさや怒りを打ち明けた。同法の違憲性や国の賠償責任について今夏にも統一判断が示される見通し。2018年以降、全国12地裁・支部に39人が起こした一連の国賠訴訟は、ヤマ場を迎えた。

 大阪訴訟原告で聴覚障害のある野村花子さん(70代)=活動名=と夫の太朗さん(80代)=同=は「どうして強制不妊手術を受けさせられないといけなかったのか。ありのままの体でいさせてほしかった」と手話で振り返り、「優生保護法は障害者差別。聞こえる人も聞こえない人も子を産み育てられる幸せな社会になってほしい」と願った。

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