気候予測の重要パラメーター「雲内部の鉛直速度」実測可能に–日欧のEarthCARE衛星打ち上げ成功

日本と欧州が共同開発した地球観測衛星「EarthCARE」が日本時間5月20日午前7時20分、Space Exploration Technologies(SpaceX)の「Falcon9」ロケットで打ち上げられた。

EarthCARE

EarthCARE衛星は、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)と欧州宇宙機関(ESA)が共同開発した初の地球観測衛星だ。「雲プロファイリングレーダ」「大気ライダ」「多波長イメージャ」「広帯域放射収支計」という4つのセンサーを備え、25日に1度の頻度で全地球を網羅的に観測できる。

このうち、日本が開発を担当したのは雲プロファイリングレーダーだ。同レーダーの特徴は、雲内部粒子の鉛直(地面に対して垂直)速度を測定できる点だ。気候シミュレーションでは雲内部の動きが重要で、雲粒子の垂直速度も重要なパラメーターだ。しかし、これまで実測する手段がなく、予測の不確実性要素となっていた。EarthCAREでこれを実測可能とすることで、予測精度の向上につなげる。

測定にあたっては、地球に向かってミリ波帯の電波を送信し、雲粒によって散乱されてくる電波を受信。その際のドップラー速度を計測することで、雲内部の垂直速度を得る。

また、EarthCAREの表面は、通常の衛星に見られるような金色ではなく白色だ。これは、EarthCAREの軌道高度が約400kmと低く、通常の金色の断熱材では周囲に浮遊している原子状酸素による劣化が激しいためとJAXAは説明している。

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