『あぶない刑事』瞳ちゃんって?名ゼリフに欠かせない重鎮

永遠の瞳ちゃん。 - (C) 2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会

人気シリーズ『あぶない刑事』には、「瞳ちゃん、お茶」というおなじみの名ゼリフが登場する。シリーズにとって欠かせない存在である“瞳ちゃん”とはどんなキャラクターなのか、今一度振り返ってみる。

“瞳ちゃん”こと山路瞳は、神奈川県警察横浜港警察署の仲間で、タカ(舘ひろし)とユージ(柴田恭兵)を陰ながらサポートする役回りを担う。テレビシリーズの放送が開始された1980年代は、若い女性社員に上司がお茶を入れてもらうという行為が一般的だったことから、近藤課長(中条静夫)が瞳ちゃんに「瞳ちゃん、お茶」とお願いされることがお決まりのシーンとして描かれた。

ハードボイルドな本シリーズにおいて、タカとユージの型破りな行動にいつもイライラしている近藤課長が、瞳ちゃんが入れたお茶を飲んでリラックスするというシーンは、文字通り一服の清涼剤のような癒やしのシーンといえる。

瞳ちゃんはテレビドラマからレギュラー出演しているキャラクターで、その後もすべての劇場版に登場している。当初庶務課の巡査だった瞳ちゃんもキャリアを重ね、最新作『帰ってきた あぶない刑事』では捜査課の課長秘書(警部補)となった。課長は近藤課長から、深町課長(小林稔侍)になり、一旦「瞳ちゃん、お茶」の声は聞けなくなった。しかし、『まだまだあぶない刑事』で町田課長(仲村トオル)になってからは、町田課長が近藤課長の精神を引き継ぎ、「瞳ちゃ~ん、お茶~」のセリフが復活した。

瞳ちゃんの役は、1986年の放送当初から約38年に渡って長谷部香苗が務めている。長谷部は、テレビドラマ第1話の監督を務め、以来メイン監督の一人として本シリーズに携わり、劇場版1作目『あぶない刑事』の監督も手掛けた長谷部安春の実の娘であることから、本シリーズにとって非常に縁の深い人物といえる。長谷部は本シリーズのほかに、テレビドラマ「はみだし刑事情熱系」「おとり捜査官・北見志穂」などの刑事モノに出演している。さらに、吹き替え声優としても活動しており、最近ではジャッキー・チェン主演の映画『ライド・オン』(5月31日公開)の日本語吹き替え版にも声優として参加している。

最新作『帰ってきた あぶない刑事』は、定年退職して刑事を引退し、ニュージーランドで探偵をしていたタカとユージが、横浜に戻ってきて彩夏という女性に「母を探してほしい」と依頼されたことから物語が始まる。令和に帰ってきた昭和の最強バディの活躍とともに、瞳ちゃんがお茶を入れるシーンは登場するのか? 時代の移り変わりを考慮しつつ、お約束シーンがどう描かれるのか見逃せない。(今井優)

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