宮澤エマが語るトニー賞の魅力とは?「今年は新作がたくさんあって、ブロードウェイの盛り上がりを感じる」

WOWOWで6月17日に生放送・ライブ配信される「生中継!第77回トニー賞授賞式」(午前8:00)。井上芳雄宮澤エマがナビゲーターを務め、京本大我SixTONES)がスペシャル・サポーターとして初参加する。井上とは今回で4回目のタッグを組み、番組を進行する宮澤が見どころや番組のエピソードを語った。

「トニー賞」は、該当期間中(通常は前年4月末からの1年間)にオン・ブロードウェイで開幕した演劇、ミュージカル作品を対象に贈られる賞で、アメリカ演劇界で最も権威のある賞レース。授賞式では、オープニングアクトをはじめ、ノミネート作品に関連した豪華パフォーマンスの数々が披露され、そのシーズンのブロードウェイを凝縮したようなエンターテインメント性あふれるセレモニーとなっている。司会を務めるのは、アリアナ・デボーズ。今回で3年連続となる。その模様を井上と宮澤、京本が、現地の興奮そのままに分かりやすく伝えていく。

宮澤は「最初にナビゲーターを務めた4年前、2020年はコロナ禍の真っただ中でノミネート作品の数も少なく、『果たして開催できるのか!?』といった状況だったことを思い出します。続く21年、22年も同じように作品数が少なく、さまざまな制限の中での開催でした。そして、23年は全米脚本家組合のストライキのために台本のない授賞式となり、私はずっと異例のトニー賞を見守らせていただいたように思います」とこの4年を振り返る。そして「今年はいよいよ、フルスイングな形のトニー賞に戻るのではないかという期待があります。新作がたくさんあってブロードウェイの盛り上がりを感じられるので、いいトニー賞になりそうな予感がしています」と期待を寄せている。

あらためて、台本のない授賞式で生放送での混乱もあった昨年を回顧した宮澤は、「予測不可能なことが多い番組なのに、さらに予測不可能だったので、スタッフの皆さんが大変だったと思います。私は逆に『何を言うんだろう、何が起こるだろう!?』といったワクワク感を持って、集中して見ていました。演者たちが自らの言葉で一生懸命にショーをつなぎながら、やはりライターたちが生み出す言葉によって自分たちは支えられている、といったメッセージを強力に伝えてきて。よい“ホン”なしには作品は成り立たないことを一番よく知っているのが演者だと思うんです。そういう意味では“言葉の力”を強く感じるトニー賞でした」としみじみ。

ブロードウェイの魅力を問われると「ニューヨークは闘う街だと思うんです。大きな夢や野心を持って何かを成し遂げようと闘う、アグレッシブな人たちが集まる街。ブロードウェイで上演される作品は、何かを賭けて闘いを挑む人たちが作っていると感じるから、行くたびに、『あなたは人生をどう生きているの?』と自問自答させられて。ここでは多くの人たちがいろんな勝負をしに来ている。私はそういう勝負が東京でできているかなと、私にとっては自分の生活と地続きであることを感じざるを得ない場所です」と、言葉を選びながら丁寧に答えた。

そして、トニー賞を初めて見る人に向け、「ミュージカルに関心があるなら、今年のノミネート作品を検索すれば簡単なあらすじを調べられますし、楽曲を披露した動画がきっと見つかると思います。そこでご自身の“推し”の作品や俳優さんを見つけておけば、授賞式でのパフォーマンスを存分に楽しめるんじゃないかなと。スピーチやパフォーマンスをただ見るだけでも楽しいけれど、ちょっと予備知識を入れておけば、より楽しめると思います」とアドバイス。

今年、受賞を期待している作品は「リバイバル賞にノミネートされている『メリリー・ウィー・ロール・アロング』」と即答。自身のデビュー作でもあり、「13年に宮本亞門さんの演出でこの作品をやることが決まった時、ちょうどマリア・フリードマンさんの演出による舞台がウエストエンドでやっていて、それを見に行ったんです。その作品がまずウエストエンドで評価され、その後、日本でも21年に上演されて、満を持してブロードウェイにやって来たと思うと感慨深いです。たぶん、いろいろな賞をとるのではないかなと」と予想する。

続けて「私も演じた、メアリー役のリンゼイ・メンデスさんは、ミュージカル『ドッグファイト』初演のローズ役でもあって、私も同じ役を演じているので勝手にシンパシーを感じているんです(笑)。彼女の歌声は本当に素晴らしいので、パフォーマンスがとても楽しみです」と目を輝かせ、もう一つの注目作として「個人的にアリシア・キーズさんは大好きな歌手であり女優さんなので、彼女が楽曲を手掛けた『ヘルズ・キッチン』も注目ですね」と付け加えた。

井上との掛け合いも「生中継!第77回トニー賞授賞式」の見どころとなる。「去年も一昨年もその前の年も、芳雄さんに『この対応でいいのかな…』と心配で聞いていましたが、今のところ大丈夫そうなので『この路線で間違っていない』という自負とともに、バッサリ斬るところは斬って、楽しそうにされている時はそのままに(笑)、仲良く最後までたどり着きたいです。ありのままの楽しそうな芳雄さんを隣で見ているのが楽しいんですよね」と信頼感をうかがわせる。「今年は京本大我さんもご一緒しますから、力むことなく楽しんでいる先輩を見て、京本さんが一番戸惑われるのではないかと(笑)」と心配しつつ、「3人で協力し合ってやっていけたらいいなと思っています」と話した。

初参加となる京本に関しては、「ミュージカルで王子様を演じていらしたからか、りんとして歌う品のある姿を思い出して、やはりプリンスといった印象」と表した宮澤。「でも、バラエティー番組でお見かけした時に、『結構面白い人なんだな~』と薄々感じ取りまして(笑)。今回の『トニー賞授賞式』の番組では、どんな京本さんが見られるか楽しみです」と話し、初共演を心待ちにしている様子。そして「WOWOWの番組も、トニー賞自体にもファミリー感があふれているので、芳雄さんと3人での化学反応が楽しく作用するといいなと思います」とコメントした。

宮澤は、舞台のみではなく、近年はドラマなど映像作品でも活躍中。自身の活動に対しては「初舞台から去年で丸10年、舞台を主軸に生きてきて、20代をすべて捧げたと言っても過言ではないと思います。近年の映像作品で私を知ってくださり、ミュージカルをやっていることは知らない方もいらっしゃるかもしれませんが、舞台でも映像でも、いろいろな作品で私の姿を見てくださる方々は皆さんファミリーというか、ベースだなと感じています」と感謝。さらに、「私自身は賞とは関わりなく活動してきた中で、昨年出演した『ラビット・ホール』で読売演劇大賞優秀女優賞をいただいたことには驚きました。そして『ラビット・ホール』と『オデッサ』では菊田一夫演劇賞をいただくことができ、とてもうれしかったです。舞台は私にとって帰ってくる場所であり、目指す先です。自分の中のコアな部分に演劇がある、そう思っています」と、舞台作品への熱い思いを伝えている。

最後に、「トニー賞授賞式」の開催を間近に控え、「毎回期待できるところは、俳優陣による熱いパフォーマンスと素晴らしいスピーチです。何か感じ取るものが必ずある授賞式だと思うんです。それは明日を頑張る活力かもしれないし、劇場に足を運んでみようという気持ちかもしれなくて。見る前と後では生活にちょっとした違いが出てくる、それがトニー賞の楽しさだと思うので、その魅力を最大限伝えられるように頑張ります」と意欲をのぞかせ、「スタジオでの私たちによる新たな化学反応がどこに行き着くのか(笑)、そんなワクワク感も楽しんでもらえたらうれしいです」とメッセージを寄せた。

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