高橋文哉、念願の夢叶い“ヤンキー”に 『伝説の頭 翔』は一人二役の“落差”が見どころ

7月から始まるテレビ朝日系金曜ナイトドラマ『伝説の頭 翔』で高橋文哉が主演を務めることが決定した。

本作は、2003年から2005年に『週刊少年マガジン』(講談社刊)にて連載された同名マンガの実写化作品。『クロサギ』『正直不動産』の原案で知られる夏原武の原作デビュー作でもある。

1000人を超えるヤンキーたちを従える不良チーム“グランドクロス”を束ねる伝説の頭・伊集院翔。かたやクラスでもまったく存在感がなく、スクールカースト最下層の万年パシリ・山田達人。容姿がそっくりの“最強”と“最弱”の2人がある日、偶然出会い、人生を交換することに。高橋は翔と達人の一人二役に挑戦する。

『クロサギ』や『正直不動産』といった夏原の原作作品は過去にも実写化され、人気を博している。特に、山下智久が主演を務めた『正直不動産』(NHK総合)は、当初ソフト化される予定が全くなかったが、放送も盛り上がり、放送後の視聴者アンケートでも評価が高かったことなどからソフト化が実現した作品である。

『クロサギ』の騙し合いが日常茶飯事になっている詐欺師の世界や、『正直不動産』の「千の言葉のうち真実は三つしかない」ともいわれる不動産業界には仄暗い闇っぽさが漂っているが、それぞれの主人公は、自分なりのやり方で正義を貫こうとし葛藤していた。夏原の作品には、こうした人の繊細な感情の動きが織り交ぜられている。

『伝説の頭 翔』でもいじめられっ子の達人は、“ニセモノ”だと気づかれずに、喧嘩三昧のヤンキーとしてのタフな毎日を過ごさなければならないし、逆に翔は、いじめっ子にどんなにムカついてもむやみやたらに手を出すことはできない。正反対の世界で生きる翔と達人は、お互いの世界を経験することでどんな気持ちを抱くのだろう。そんなところにも注目したい。

これまで、高橋は『仮面ライダーゼロワン』(2019年/テレビ朝日系)や『フェルマーの料理』(2023年/TBS系)などで主演を務め、5月31日に公開される映画『からかい上手の高木さん』には、高木さん(永野芽郁)にからかわれる西片役で出演している。高橋がこれまで演じてきたキャラクターは、どちらかというと気弱で、真面目な好青年であることが多かった。それはきっと本人の性格にも近いところがあるのだろう。

『伝説の頭 翔』がテレビ朝日系での放送ということで、高橋は「(『仮面ライダーゼロワン』で)本当に0から1を作っていただいた……まさしく俳優・高橋文哉の“ゼロワン”を作っていただいたという恩を感じています」「こうして、テレビ朝日さんの連続ドラマに主演として帰ってこられて、少し恩返しできているのかな?という気持ちがあります」とコメントを寄せている。

しかし実は高橋は、大のヤンキー作品好き。9歳上と7歳上の兄の影響で家には多くのマンガがあったそうだが、その中で唯一読み切ったのが『クローズ』だったという(※)。高橋は、以前から「ヤンキー役をやりたい」と発言することが多かったが、そのきっかけとなったのが小栗旬が主演した映画『クローズZERO』、『クローズZERO II』なのだそう。つまり、『伝説の頭 翔』での“最強”翔役は念願のヤンキー役ということになる。一方で、“最弱”達人役は、これまでの高橋の持ち味である真面目さや優しさが感じられる人物となるのではないだろうか。1つの作品の中で、1人の役者が両極端なキャラクターを演じることはそうそうない。高橋が翔と達人をどのように演じるのかに期待したい。

参照
※ https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00601/00001/
(文=久保田ひかる)

© 株式会社blueprint